こんにちは。グローバル人材育成の「アルク」のライティングチームです。
日本の企業で働く外国人の姿を見るのは珍しいことではなくなりましたが、依然として「外国人社員の日本語教育」 に課題を抱える企業の声も多く聞かれます。
この記事では、外国人社員の日本語教育をどのようなプロセスで進めるべきなのかについて考えていきたいと思います。
日本企業で働いている外国人に対して行った調査で、苦労した点、困った点について聞いたところ、2位が「専門用語や業界用語など日本語の習得が大変だった」、3位が「上司や同僚との社内コミュニケーションが大変だった」という結果になりました。多くの外国人社員が、日本語やコミュニケーションに関して問題を抱えていることがわかります。
いっぽうで、外国人社員を受け入れた企業が直面している課題について聞いた調査でも、トップに「社内での日本語コミュニケーション能力の不足」、4位に「取引先との日本語コミュニケーション能力の不足」が挙げられています。
外国人社員も企業も、コミュニケーションという部分で問題を抱えており、何らかの対策を打つ必要があると言えそうです。
企業側が「思っていたより日本語が話せないようだな」とか、外国人社員が「業務上の会話がイマイチ通じない」という両者の日本語能力における期待値の齟齬が生まれる原因について考えてみましょう。
多くの企業で、日本語能力試験(JLPT)を1つの採用基準としています。ただ、「最も高いレベルのN1に合格しているのに、職場での日本語コミュニケーションがうまくいかない」とお困りの企業の声も耳にします。
日本語能力試験では、「読む」「聞く」能力のみが測定され、「書く」「話す」能力については測定がされません。ですから、N1に合格したからと言って、必ずしも十分に日本語が話せるとは限りません。N1合格のための学習は、インプットが中心で、話す練習はしないことが多いからです。
日本語能力試験のレベルは採用基準の「目安のひとつ」と考えるといいでしょう。
日本語教育は、次の順番で進めていくといいでしょう。
前述した、日本語能力試験で「読む力」「聞く力」を測定し、それに加えて日本語運用能力(会話力)を測るテストで「話す力」もしっかり測定しましょう。
資料:「電話による日本語会話力測定テスト JSST」をダウンロード
一般的なコミュニケーションの9割を理解するために必要な語彙数は、英語だと3,000語、日本語では約1万語といわれています。
日本人(成人)の一般的な語彙量は3~5万語といわれているため、外国人社員に日本人同等の日本語力を求めることがいかに大変なことか想像できます。
そこで、外国人社員への日本語教育においては、日本人との交流全般に渡る範囲での日本語力を求めるのではなく、電話応対や敬語使用等、まずは業務上必要な活動に合わせた日本語習得に的を絞ったほうが効率的といえます。
下の表は、日本語習得時間の目安です。
日本語能力試験のN5レベルからN4を取得するためには150時間、更にN3を取得するには300時間、など、レベルが上がるほど、学習時間がかかります。
日本語習得には大変な時間がかかるので、②でも述べましたが、業務に必要な日本語の習得に的を絞り、学習計画を立てていきましょう。
日本語習得時間の目安 ー JLPT 日本語能力試験
JLPT レベル | 言語行動/言語知識 |
---|---|
N1 (900時間程度) |
幅広い場面で使われる日本語を理解することができる 漢字2,000字 語彙10,000語程度 |
N2 (600時間程度) |
日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、 より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる 漢字1,000字 語彙6,000語程度 |
N3 (450時間程度) |
日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる 漢字700字 語彙3,500語程度 |
N4 (300時間程度) |
基本的な日本語を理解することができる 漢字300字 語彙1,500語程度 |
N5 (150時間程度) |
基本的な日本語をある程度理解することができる 漢字100字 語彙800語程度 |
日本語能力試験HP https://www.jlpt.jp/about/pdf/comparison01.pdf を参考にアルクが作成
この記事では、外国人社員と、彼らを受け入れる企業側が、共に抱える「日本語教育」の問題点と、そのアプローチ方法について解説しました。
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