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セミナーレポート】生成AI時代に求められるグローバルリーダーとは? ~グローバルリーダーが習得すべき問題発見・解決の技法と事業・サービスの開発・改革の進め方~

【セミナーレポート】生成AI時代に求められるグローバルリーダーとは?
~グローバルリーダーが習得すべき問題発見・解決の技法と事業・サービスの開発・改革の進め方~



BDスプリントパートナーズ代表取締役・秦 充洋氏と、弊社代表取締役・藤井紀行による、対談セミナーの模様をお届けします。生成AIなどの新技術やトレンドが続々と登場するポストコロナのビジネスシーンを背景に、変化の波を乗りこなし成功を導くために、グローバル人材が身につけるべきスキルについて考えます。

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生成AI時代のグローバルリーダーが、押さえておきたいスキルセット

藤井 2022年11月に登場したChatGPTは、2カ月でユーザー1億人を突破したといいます。このChatGPTの登場あたりから、ビジネスの変化が前にも増して激しくなったと感じています。

秦  ええ、10年に1回ぐらい、たとえばインターネットの登場とか、モバイルが広がるとか、各業界にインパクトを与える技術が出てきています。次はAIかなと思っていた矢先、まさに本命登場という感じで、ChatGPTをはじめとする生成AI1)が、続々と出てきました。すごい技術がどんどん広がっていると実感しています。

藤井 生成AIのような技術が台頭する時代に入ると、ビジネスや組織をリードする人には、どういった資質やスキルが求められるのでしょう。

秦  そうですね。大事なのは、新しい技術やトレンドといった変化を捉え、それをいかに自分のビジネスに活かしていくのか、その組み立ての部分です。技術自体の活用ということでは、たとえば生成AIを使いこなすには、人がAIに対して、適切な指示や問いを投げかけることが重要なわけです。そしてそこには、'できる上司のノウハウ'に近いものがあると思います。

藤井 確かに、技術を最大限に活用するためには適切な指示や問いが不可欠です。

秦  便利なツールがたくさん出てきて、専門知識にアクセスするハードルが下がっても、やはりリーダーには、ゴールを設定する力とか、ものごとを実際に形にしていくための熱意、情熱、人を動かす力などが欠かせませんよね。多様な人々の気持ちをまとめて、ソリューションを目指し、一丸となって走らせるコミュニケーション能力なども、これからますます大事になってくるでしょう。

藤井 アルクエデュケーションも、まさにその文脈で、グローバル人材育成サービスを提供しているわけです。その際、「グローバルに活躍できる人材を育成する3つの領域」として、①「グローバルマインドセット異文化コミュニケーション」、②「英語力」、③「ビジネススキル」をあげているんですね。とりわけ海外とのビジネス、あるいはチームをリードする立場の人には、3つ目の「ビジネススキル」のひとつである、コンセプチュアルなスキル2)が重要になってくる。これは、複雑な問題を整理して、合理的に判断する力です。実体験からも、私はそんなふうに思います。

秦  とにかく変化が速い時代ですからね。

藤井 ええ、問題の本質を速やかに発見し、速やかに解決するスキルや、続々と出てくる最新技術を取り入れて、新たなサービスや事業を推進する力が、これまで以上に求められるでしょうね。そこで本日は、生成AI時代に重要となるコンセプチュアルスキルの観点から、問題の発見と解決、そして新たな事業を作り出すためのスキルについて、考えたいと思います。まずは「問題発見・解決」を実現するための流れを、秦さんからご紹介いただけますか。


「問題発見・解決」を成功させる「型」を知ろう

秦  ビジネスの世界では、経験も知識もない領域で、成果が求められる状況がいくらでもあります。世界には、いわゆる「プロ経営者」と呼ばれる人たちがいますよね。彼らはある日突然、まったく関係ない業界の社長にポンと就任し、未知の分野でしっかり結果を出してしまいます。どうしてそんなことができるのでしょう?
実は、あれを可能にしているのは、そこに「型」があるからです。彼らは、問題を見つけ、課題を特定し、原因を究明して、解決策を立案するという一連の流れを、とても愚直にやっています。

藤井 それが「型」ですね?

 そうです。最初にやるのは、現状と目標のギャップから「問題」3)を見つけること。次にボトルネックはどこか分析して「課題」3)を特定。「原因」を究明したうえで、「解決策を立案」するのです。非常にシンプルですが、ビジネスに関する問題は、ほぼこの流れで解決できます。リーダーは、流れに沿った順番で指示を出したり、ファシリテーションしていけばよいのです。
ただ、この「型」は、汎用性が高いのですが、使い慣れていないと、いざという時に使いこなせません。ですので、普段から自分の仕事で応用するようにしていると、よいトレーニングになると思います。

藤井 こうしたスキルは、トレーニングすれば誰でも身につけられると、考えてよいのですね。

秦  特殊な才能や知識がないと使えないスキルは、ビジネスの世界の共通言語にはなりません。練習すれば誰でも使えるわかりやすいスキルを、日頃の仕事を通して使い慣れておくことが大事なのです。「型」が身についていれば、どんなシチュエーションでも、どんな現場に放り込まれても、結果を出すことができますから。

藤井 そういう「型」を身につけるための研修は、若い方からマネージャークラスの方まで、みんなにやってほしいですね。

秦  そうですね。我々がサポートしているケースでいうと、次世代リーダーの方々にトレーニングを受けてもらい、実際に職場の課題に取り組んで、3カ月後に発表していただくといったこともしています。若いうちに経験し、自分のスキルにしておけば、いざ自分がリーダーとなったとき、自信をもって業務を進められます。


資料『階層別 グローバル人材育成の成功事例4選』をダウンロード



新しい事業やサービスの成功率を上げる「型」も

藤井 事業やプロダクトの寿命がどんどん短くなっている昨今、たゆまざる「事業開発」も不可欠です。新たな事業を創造し、成功に導くための要件は何だと思われますか。

秦  新しい事業に乗り出そうとしてうまくいかないのは、「発想」、「ビジネスデモル化」、「実行」の、いずれかの段階で躓いているからなんです。新しい事業アイディアが世の中に出ていくには、この3段階を3つのサイクルと考え、一連のプロセスをしっかり管理することが大切です。 3つのサイクルは、それぞれさらに3つに細分化できます。「発想」に関しては、①事業コンセプト、②顧客への提供価値、③顧客検証。「ビジネスモデル化」は、④バリューチェーン、⑤マネタイズモデル、⑥キャッシュフローモデル。「実行」については、⑦チームとアライアンス、⑧継続的見直し、⑨支える組織・仕組み。この「事業開発の3×3ステップ」でサイクルを回していくのです。

藤井 総合格闘技といいますか、いろんなスキルが必要ですね。

秦  まず取り組んでいただきたいのは、インプットの部分です。「新規事業のアイディアを募っても、ありきたりのものしか出てこない」というのは、既存の事業で頭がいっぱいだからです。新しい事業の種を見つけたいなら、今やっている事業の範囲外に、目を向けなくてはいけません。生成AIについて全く知らなければ、生成AIを活用した事業アイディアなど、出てくるはずがないのです。

藤井 自分たちの仕事にしか関心がないと、斬新なアイディアは出てこない。だから他業界のことを勉強したり、全く新しいものでなくても、いろんなものを組み合わせたりして、新しいものを生み出していく、ということですね。それとは別に、今やっている事業のよいところは活かしつつ、さらに改善改良したいという企業ニーズも多いですよ。

秦  最近メーカーさんで話題なのが、「モノ売りからコト売りへ」という、サービス型事業モデルですよね。これなどは、「顧客への提供価値」からスタートして、「事業コンセプト」に戻って考えるパターンです。ご紹介した「事業開発の3×3ステップ」は、このような応用がいくらでもできる、柔軟性のある枠組みです。


藤井 「型」を身につけること自体、コンセプチュアルなスキルであることがわかりますね。かつて、初めて新規事業開発に携わった時のことを思い出しました。 2015年頃だったと思います。秦さんの書籍のプロセスと手順に従って新規事業開発を進めていたのですが、チェックリストとしても活用することができました。重要なポイントを押さえ、抜け漏れなく進めることができましたので、もしそれが無かったら随分結果が違っただろうな、というのを思い起こした次第です。本日はありがとうございました。



1) 生成AI(ジェネレーティブAI)
学習済みのデータをもとにして新たなコンテンツを生成できるAIのこと。OpenAIが開発したChatGPTやGoogleが開発したBardはテキスト生成AI。ほかに、画像生成AI、音声生成AI、動画生成AIなど。


2) コンセプチュアルスキル
知識や情報を論理的に組み合わせ、複雑な事象を整理して、ものごとの本質を把握する力。正解のない問題に直面したとき、物事を理論的・創造的に考え、納得できる着地点を導き出す力。


3) 問題と課題
目指すものと現状のギャップが「問題」。「問題」を解決するため、具体的に取り組むべきことが「課題」。



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Profile

秦 充洋 氏
株式会社BDスプリントパートナーズ代表取締役・CEO


BCGでの大企業向けコンサルティング、スタートアップ起業及び上場、ビジネススクール講師の3つのキャリアと経験から、事業開発分野における第一人者として、 体系化されたノウハウに基づいた実践的なアプローチで大手企業の事業部門や研究開発部門など多くの組織、起業家を支援。著書に『プロ直伝!成功する事業計画書のつくり方』(ナツメ社)『事業開発一気通貫』(日経BP)



藤井 紀行
アルクエデュケーション代表取締役


人材、教育業界で25年を超えるキャリアを有する。AIやブロックチェーン教育の新規事業開発、海外教育機関とのアライアンス推進およびデジタルサービス開発のほか、事業と組織のマネジメントに従事。2022年5月、執行役員として株式会社アルクエデュケーションに参画し、事業全体のマネジメントに携わってきた。2023年5月より現職。