ALC NetAcademy 通信[No.115]

投稿日: 2013/12/25 アルクグローバル通信

早いもので、今年も残すところあとわずかとなりました。例年、東京本社では2回の文教関連セミナーを行っておりますが、今年は3回開催し、より多くの皆さまにお越しいただき、ありがとうございました。英語学習を取り巻く環境は、日々変化しておりますが、来年もより良いソリューションを提供できるよう社員一同精進してまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
(画像:先日のセミナーの様子)

e-learning教育の現場から

『群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部の英語教育』

群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部  深谷晃彦 先生

2005年に新設された群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部は、学部の目標の一つとして実践的で高度な英語力の養成を掲げている。本稿では、本学部の英語教育プログラムの概要と、そのプログラムにおけるALC NetAcademy 2(以下、NA2)の位置づけについて述べたい。

 本学部では設立時より、様々な英語科目を開講して教育に当たっていたが、当初は科目間の連関が弱く、カリキュラムの体系性という観点から問題があることが教員間で指摘されていた。そこで、英語担当教員の間で議論を重ねた結果、4技能の各分野において連続性を高めるとともに、Content-based Instruction (CBI)に基づいて分野間に内容的な関連性を持たせるカリキュラムを構築するのがよいのではないかという結論に達した。ただし、学生の習熟度や関心、教員側の負担などを考慮して、CBIのモデルの一つであるTheme-Based Instructionを本学部の状況に合わせて採用することにした。
 具体的には、リーディング分野とリスニング分野の間でテーマが関連付けられている教材を採用し、これをベースとして、スピーキング分野とライティング分野でもそれらのテーマに沿うような内容を取り入れることにした。この方式だと、一定期間、関連した内容の英語に触れることになるため、内容も言語表現も記憶に残りやすいという利点がある。また、それぞれの分野における学期間、学年間の連続性を確保するために、分野ごとに専任教員のコーディネーターを置いて、教材選択やシラバス作成、講師との意見交換などに当たるようにしている。
 英語プログラムのコアの部分はこのように、Theme-Based Instructionに基づいて運営されているが、英語力の向上には通常の授業に加えて、より多く英語に触れさせることが欠かせない。そこで、「TOEIC演習」という科目と、「自律学習」と本学部で呼んでいる科目群を用意している。

 本学部では現在、学生の英語力到達目標をTOEIC®テスト730点に設定しているため、TOEIC®テストに対応できる力を養うことを目的として「TOEIC演習」が導入された。当初は、学生にTOEIC®テストの問題集を教室に持ち込ませて個別に学習させ、教員は机間巡視をしながら、学生の質問に対応するというような形態で行っていた。その後、リスニングの学習にも対応できるようにと、一部の授業をCALL教室で行うようにし、NA2のスーパースタンダードコースに取り組ませるようにした。しかし、各自が別々のユニットを学習することや、CALL教室でも通常の問題集に取り組むことを認めていたため、声に出す練習がしづらいという問題があった。そのため現在は、「TOEIC演習」をレベル分けし、教員が指定したスーパースタンダードコースのユニットに全員が一斉に取り組むという形態にしている。この方式により、声に出す練習が自由にできるようになったため、オーバーラッピングやシャドーイングを積極的に取り入れている。毎時間、リスニングとリーディングを1ユニットずつ学習させ、余った時間には、同じくスーパースタンダードコース内の「TOEIC®テスト演習」や、アルクSVL12000に基づき語彙力強化ができる「道場」などに取り組ませている。

 また、授業外で英語に触れる機会を増やすために、「リーディング自律学習」や「リスニング自律学習」などの選択科目を設けている。「リーディング自律学習」ではGraded Readersを用いた多読に取り組ませ、「リスニング自律学習」ではNA2も活用している。こちらでは「TOEIC演習」との重複を避けるために、スタンダードコースを使用しているが、自宅からもプログラムにアクセスできるため、自律学習の教材として大変利用しやすい。なお、これらの自律学習科目では、一定時間、自律的に学習した成果に対して単位を付与している。

 以上述べてきたように本学部では、Theme-Based Instructionに基づくコアカリキュラムと、「TOEIC演習」や自律学習科目を組み合わせながら、学生の英語力の伸長を図っている。TOEIC®テストスコアの平均点で見ると、入学時から英語プログラムのコアの部分が終了する2年後期までの間に、例年200点程度上昇しているので、一定の成果が上がっていると言ってよいであろう。なお、これまでは通常のTOEIC®テストにより、主に英語のインプットの力をモニターしてきたが、今後ますます英語による発信力が求められると考えられるため、2014年度よりTOEIC®スピーキングテスト/ライティングテストの本格的導入を予定している。これまでも発信力の養成には力を入れてきたが、それを定期的にモニターすることにより、カリキュラムのさらなる向上を図りたいと考えている。

グローバル人材育成の現場から

『国際教養大学におけるグローバル・リーダー育成事業』

国際教養大学国際教養学部教授  勝又美智雄 先生

国際教養大学は「国際的に活躍できる人材の育成」を教学理念に掲げ、2004年の開学以来、①すべての授業を英語で行う②全学生に1年間の留学を義務付ける③国際標準に見合うカリキュラム編成で世界中の提携大学と単位互換できる④事実上の全寮制、などを柱に徹底した少数精鋭教育を実施してきた。その結果、毎年10~20倍の競争率で勉学意欲の高い学生が全国から集まり、08年以降、卒業生たちはずっと「就職率100%」を達成してきている。

 「国際教養(International Liberal Arts)」は、創立者である故中嶋嶺雄前学長が全国に先駆けて提唱し、具体化させてきた。その9年間の成果を踏まえて、今年度から鈴木典比古・新学長のもとで、新たな中長期計画として「グローバル・リーダー人材育成」という、より高い目標を掲げて動き始めている。
 つまり本学では「グローバル人材」には①幅広い基礎的な教養と異文化理解力②常識・正解を疑う論理的な分析力と批判力③3ヶ国語以上の言語でのコミュニケーション能力④日本人としてのアイデンティティ⑤未知のものに挑戦する主体性、の5つの条件を身に付けることが必要不可欠だと考えてきた。

 そのための支援体制として「24時間365日オープン」の図書館を主要拠点に、「言語異文化学修センター(Language Development and Intercultural Studies Center=LDIC)」で提携校のある35カ国語の語学教材、DVDなどを豊富にそろえ、学生たちがいつでも自由に自学自習できるようにしている。またレポートの書き方やプレゼンの仕方などがよくわからない学生には「学修達成センター(Academic Achievement Center=AAC)」で大学院生や上級生、留学生たちがマン・ツー・マンで指導している。さらに全学生が指導教官をアドバイザーに持ち、日常的に教育相談している上、特に累積評価平均値(GPA=4.0が最高点)が2.0以下の学生には個別に特別アドバイザーを配置している。本学では留学条件でGPAが2.5以上、TOEFLが550点以上としているので、学生たちも真剣だし、そうしたきめ細かな指導によって、ほぼ全員が留学し、さらに第一志望の企業、機関に就職するという具体的な成果に結びついている。

 今後はさらに⑥高度な専門知識と技術⑦公益を尊重する高い倫理感⑧取り組む課題の優先順位を判断し、決断する力⑨果敢な実行力、の4つを「グローバルに活躍できるリーダー」の必要条件として設定し、そうした能力を高めるための教育内容と指導体制を整備していくことに取り組んでいく。

 その第1弾としてこの秋には「アカデミック・キャリア支援センター(Academic Career Support Center=ACSC)」を新設して国内、海外の大学院への進学を積極的に奨励し、GRE・GMATなど受験対策の指導を始めた。同時に卒論(英文で5000語以上が基本)のレベルを高めるために従来の卒論ゼミだけでなく、別枠で資料・データ類のリサーチや論文執筆、プレゼンの指導を専門に行う教員を2人増強し、特に数量的データ処理力、社会科学的な分析力を高めるように指導している。
 本学は入学定員を初年度の100人から現在の175人まで徐々に増やしてきたが、現在の在学生は870人ときわめて小規模の大学だ。それだけに学生同士の仲が良く、お互いに助け合い、励まし合う文化が出来上がっている。教員と学生の関係もきわめて親密で、日常的な個別指導で学生の勉学意欲を刺激し、将来のグローバル・リーダーを目指すように励ましている。

 カリキュラム編成では3、4年生向けの専門科目は午後に限り、午前中は提携大学や国際機関から招いた教官による特別集中講義をいくつか開講している。これによって学生たちは秋田の田舎にいながらにして世界中の一流の教授陣の特別講義が受講できている。新年度以降はこうした内外の優れた講師陣を積極的に受け入れる教員交流をより活発にし、より多彩で、しかも先に挙げた①~⑨の「グローバル・リーダー」の能力開発に重点を置いていく方針だ。

新商品のご紹介

新しいe-learningシステム、
ALC Smart Learning(ASL)の新しいコースの情報をお知らせいたします。

『ALC Smart Learning TOEIC®テスト対策コース』  http://alcsmartlearning.jp/

10月1日、「470点攻略」「600点攻略」「730点攻略」の3レベルで開講しました。
最終回の今回は、ALC Smart Learning「TOEIC(R)テスト対策コース」の執筆者についてご紹介いたします。
本コースは、ヒロ前田、早川幸治、横本勝也の3氏が監修および問題執筆を行っています。3名ともにTOEICテストスコア990点(満点)を取得。TOEICテスト対策の著書が多数あり、企業や大学等で講師としての指導経験も豊富です。また、TOEICテスト研究家としても有名で、TOEICテストを毎回受験し、徹底した問題研究と分析を行っています。

長年TOEICテストの研究と指導に携わってきた3名の著者が、その知識と経験を生かして問題をパート別、パターン別に分類し、それぞれの解法のポイントを「狙い目」としてわかりやすく教えてくれるのが、本コースの最大の特徴です。しかも、目標スコア別に身につけるべき「狙い目」が厳選されているので、本コースを繰り返し学習することで、無理なく英語力アップ、スコアアップがはかれるようになっているのです。
英語力アップのコツは、やみくもに数多くの問題を解くことではありません。適切な解説のついた厳選された問題を繰り返し学習し、そのポイントを確実に自分のものにすることです。英語力アップ、TOEICテストのスコアアップを目指す学生さんにも、TOEICテストを知り尽くした3名の著者が問題と解説を提供する本コースに繰り返し取り組んでいただきたいと思います。

<お知らせ>───────────────────────────────────────────────
ALC Smart Learning が、第10回日本e-Learning大賞の「英会話スマートラーニング部門賞」を受賞いたしました!
http://www.elearningawards.jp/e-learning.html
ALC Smart Learning の Facebook ページがオープンいたしました!
https://www.facebook.com/alcsmartlearning
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今後も ALC Smart Learning をどうぞよろしくお願いいたします。
「ALC Smart Learning」についてのお問合せは担当営業、もしくは下記お問い合わせ先へお気軽にご連絡ください。
株式会社アルク教育社 教育ネットワーク部 E-mail:bunkyo@alc-education.jp

アルク教育社主催セミナーのご報告

11月30日(土)、アルク教育社東京本社主催の文教セミナーが開催され、北は秋田、西は鹿児島まで多くの大学教職員の皆さまにお集まりいただきました。ご出席いただいた皆様、本当にありがとうございました。セミナーのテーマは『学生のグローバルマインドセット醸成 ~国際連携・教育における組織的な取り組み事例と留学・英語学習カウンセリングについて~』。3名の先生方に各校における具体的な取り組みをご発表いただき、アルクグループより学校におけるアドバイザー(カウンセラー)の役割や事例をご紹介させていただきました。

■ご講演者
1.『“留学力”を高める海外留学カウンセリング』
明治大学 国際連携部 国際教育事務室 杉浦 絵里 様

2.『東京海洋大学におけるグローバル人材育成推進事業:
TOEIC®600点進級要件化に向けての取り組みについて』
東京海洋大学大学院 海洋科学研究科 教授・海洋科学部長 木村 凡 先生

3.『東北大学のグローバル人材育成プログラム』
~短期海外留学から始まるグローバルリーダーへの道~
東北大学大学院理学研究科 教授・総長特別補佐(教育国際交流担当) 山口 昌弘 先生

ご参考:『東北大学グローバルリーダー育成プログラム』
(Tohoku University Global Leader Program:TGLプログラム)
http://tgl.tohoku.ac.jp/learning.html

4.『教職員でもTAでもない、アドバイザー(カウンセラー)人材に求められる役割』
~急速に顕在化しつつある海外留学・英語学習カウンセリングのニーズ~
株式会社アルク教育社より事例のご紹介

ご参加いただいた皆さまのアンケートの回答から一部を抜粋し紹介させていただきます。

・「ビジネス、コーチ経験のある杉浦様のご講演は非常に説得力があった」
・「協定校数の伸び、短期から長期の留学につなげる実践的な取り組みが大変参考になった」
・ 「TOEIC600点進級要件化の勇気に感銘」
・ 「“やりなさい”だけでは学生はやらず⇒目標を明示すること。支援体制の構築も素晴らしい」
・ 「新しいアイデアが沢山盛り込まれたプログラムが大変参考になった」
・ 「里見ビジョンに始まる全学的な取り組みの制度設計が素晴らしい」
・ 「大規模プログラムの概要、取り組み状況が大変参考になった。部分的に取り入れが可能なポイントを得ることができた」
・ 「英語の得意・不得意とグローバル意識の強い相関が印象的だった」

上記のようなポジティブなコメントを多数いただきました。カウンセリング、
英語学習アドバイジングの重要性を感じられた方、ご講演校の事例に刺激を
受けられた方も多数いらしたようで、意見交換会の終了時刻を過ぎても
数多くの方が会話されていたことから、そのご様子が伝わってまいりました。

当日配布した資料がまだ若干ございますので、送付ご希望の方は、担当営業、または下記までお問合せ下さい。

Email:bunkyo@alc-education.jp (教育ネットワーク部)

必要項目 :氏名・所属校・学部学科名(所属部署名)・住所・メールアドレス・電話番号

※各種研修や英語学習アドバイザーに関する詳しい内容をご希望の方は、担当営業までどうぞ。

※ご記入いただく個人情報に関しては、弊社「個人情報保護方針」に基づきお取り扱い致します。詳しくはこちらをご覧ください。

12月、2014年1月の学会関連 開催案内

12月~1月

  。・゜・゜. 1月 .゜・゜・。

◇25日(土)
日本児童英語教育学会 (JASTEC)関東甲信越支部研究大会
青山学院大学(東京都 渋谷区)
http://www.jastec.info/file/taikai.html

◇25日(土)、26日(日)
COCET(全国高等専門学校英語教育学会)
第7回英語プレゼンテーションコンテスト
国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都 渋谷区)
   http://cocet.org/precon/

    。・゜・゜.2月 .゜・゜・。

◇2日(日)
日本児童英語教育学会 (JASTEC)中部支部冬季研究大会
浜松学院大学(静岡県 浜松市)
http://www.jastec.info/file/taikai.html

◇4日(火)
一般社団法人情報処理学会 アイドル総選挙からセキュリティまで
~ビックデータの今
タワーホール船堀 (東京都 江戸川区)
http://www.ipsj.or.jp/event/sj/sj2014/

編集後記

早いもので2013年も残すところ約1週間となりました。12月に入り寒さが身に染みして朝が起きづらくなってきました。知らない間に二度寝をしてしまい慌てて飛び起きるという日が続いています。慌てて準備すると必ず何か忘れてしまって気が付く頃には家には引き返せない時間。明日こそは!と思うのですが布団の暖かさから出られずにいます。
これから寒さが増してきますので、暖かい布団から出て朝の準備が億劫になってきますが気合を入れて寒い冬の朝を乗り切りたいと思います。益々寒さが厳しくなる折、体調を崩されず新年をお迎えください。2014年もよろしくお願い致します。(N)

機会があり、最近”本格中華”2品の作り方を覚えました。材料がシンプルであればあるほど、ちょっとしたポイントで毎回味が大きく変化するのも新鮮な発見です。来年も、分野を問わず色々挑戦してみたいと思っています。本年は、ありがとうございました。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします。どうぞ、よい年をお迎えくさい。(M)

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