変化する日本語教育と学習支援のデザイン~国の方針と参照枠をふまえたアルクの取り組み~
2025年12月12日に株式会社アルク 日本語事業部 部長 オスカル・グラナドスより「変化する日本語教育と学習支援のデザイン~国の方針と参照枠をふまえたアルクの取り組み~」というタイトルで講演を行いましたので、その一部をご紹介いたします。
本セミナーでは、日本語を使用して生活・就労する外国人の多様化という現状を踏まえ、日本語教育をめぐる社会的背景や課題、また、日本政府が進める施策について取り上げました。また、「日本語教育の参照枠」の考え方を整理し、授業・自立学習・発話評価・継続的な学習支援を一体的に捉える教育デザインについて紹介いたしました。
講演の流れは以下の通りです。
1.日本語教育の対象者
2.現在の日本語教育の課題
3.「日本語教育の参照枠」に基づく教育デザイン
4.日本語教育機関以外で起こる変化
冒頭では、日本在住外国人の在留資格別人数や留学生の国籍別推移などが示され、日本語教育の対象者が年々多様化していることを取り上げました。また、対象者によって求められる日本語の内容は異なり、留学生にはアカデミックな日本語、すでに就労している人材には現場で使用できる実践的な日本語が求められるなど、従来のような一律のゴール設定が難しくなっている現状を指摘しました。
続いて、日本語教育の課題として、以下の3点が挙げられました。
①"使える日本語"を育てられない構造
②学校・教師・現場間で共通基準がなく質が安定しないこと
③多様化する学習者とキャリアに対応できない教育設計
これらの課題に対し、日本政府は"使える日本語"を育てるための改革として「日本語教育の参照枠」や、教育品質のばらつきをなくすための仕組みづくりである「登録日本語教員制度」「日本語教育機関認定制度」、現場のニーズと学習者のキャリア形成をつなぐ改革である「育成就労制度」などを導入し、日本語教育の質を底上げする取り組みを進めています。
日本語を使って何ができるようになるかを考える「日本語教育の参照枠」については、学習者を社会的存在として捉えること、言語を使ってできることに注目すること、多様な日本語使用を尊重することの3つの柱を紹介しました。これにより、従来の試験中心の教育から、社会参加やキャリア形成に直結する教育への転換が求められていることを説明しました。
日本語教育機関以外で起こる変化としては、育成就労制度に基づく企業内研修の義務化や、地域日本語教育総合体制の整備が進んでいることが挙げられました。日本語教育は学校だけでなく、企業・地域社会を含めた共通言語として参照枠を共有する時代に入りつつあることを指摘しました。
最後に、アルクが刊行する「できる日本語」シリーズや「日本語教員の基礎知識」が紹介しました。「できる日本語」はCEFRや参照枠の理念に沿った教材であり、学習者のCan-Do目標を明確化し、教育機関や教師の質保証の一助となるものです。さらに、今後はオンライン自立学習プラットフォームの開発など、学習者の多様なニーズに対応する新たなサービス展開も予定されていることを紹介しました。
以上が講演の概略となります。
アルクエデュケーションでは引き続き大学・高専のグローバル化 情報交換セミナーを実施して参ります。本講演や弊社サービスについてご関心・ご質問のある方は、お名前とご所属を記載の上、academy@alc.co.jp までご遠慮なくお問い合わせください。
(文・構成:文教営業部 実松 雅史)



