帝京平成大学薬学部における英語教育の実践~「脱・和訳の丸暗記」を目指して~
2026年9月18日に帝京平成大学 薬学部 平 郁子 准教授をお招きし、「帝京平成大学薬学部における英語教育の実践~「脱・和訳の丸暗記」を目指して~」というタイトルでセミナーを実施いたしましたので、その一部をご紹介いたします。
冒頭では、先生ご自身のこれまでの英語学習や研究活動についてお話しいただきました。
先生は生物学を専門とされており、学生時代には、音読や英文和訳、単語暗記などを中心とした英語学習を経験されたとのことでした。しかし、研究室に入り、英語論文や専門書を読む機会が増える中で、専門用語の多い英文を一文ずつ丁寧に日本語へ訳すことには多くの時間がかかり、研究に必要な情報を得るという目的に対しては、必ずしも効率的ではないと感じるようになったそうです。
こうした経験から、英語学習において重要なのは、必ずしも美しい日本語に翻訳することではなく、「英語を通して必要な情報を得ること」ではないかと考えるようになったとのことでした。
また、英単語を理解する際には、単語の語源や語根に着目することも有効であるとご紹介いただきました。知らない単語に出会った際にも、その成り立ちや意味を手がかりにすることで、単語そのものを暗記するだけでは得られない理解につながるとのことです。
こうしたご自身の経験をもとに、「学生が英語に出会ったときに、そこから必要な情報を得られるようになってほしい」という考えを軸として、薬学部の英語教育を構築されています。
一方、薬学部では、1年次から学年が上がるにつれて専門科目が増え、2年次頃からは薬学に関するカタカナ用語も急速に増えていきます。また、6年間の学習の中では、卒業研究や実務実習など、英語の文献や情報を扱う場面もあります。そのため、英語を独立した教科として学ぶのではなく、薬学の専門学習と関連づけながら学ぶことが重要だとご説明いただきました。
また、入学時の英語力には大きな差があり、英語を得意とする学生から、入試で英語を必要としなかった学生まで幅広く在籍しています。こうした学生の差に対応しながら、全員が一定の学習機会を得られるよう、英語教育の仕組みを整備してこられたとのことでした。
具体的な取り組みとして、1年次から4年次まで、段階的に英語を専門分野で活用するための演習形式の授業をご紹介いただきました。
1年次では、まず英語学習の習慣を身につけることを重視しています。オンライン教材「NetAcademy PLUS」 を活用した自主学習を演習に取り入れ、学生が無理なく継続できる学習量を設定しています。また、英文を一語ずつ日本語に置き換えるのではなく、主語・動詞などの文構造を意識しながら、英文全体の意味を捉える練習にも取り組んでいます。
2年次では、医療・薬学分野の英文記事を題材に、専門用語や重要語句を学習します。英文の内容を確認するとともに、学生のレポートから重要な語句を取り上げ、定期試験にも反映することで、学習内容の定着を図っています。
3年次では、薬学分野で使用されるカタカナ語を英語学習の題材として取り上げています。例えば「レトロ」や「コンプライアンス/アドヒアランス」など、学生がすでに知っている言葉を切り口にすることで、専門知識と英語を結びつけています。また、既存の英文を参考に英文を組み立てたり、薬の使用方法や効果を説明する英文を作成したりする活動も行っています。
4年次では、英語を「学ぶ対象」から「情報を得たり、コミュニケーションを取ったりするためのツール」へと位置づけます。TOEIC対策に加え、FDAの医薬品添付文書や英語論文、図表などを教材として扱い、専門分野の情報を英語から読み取る力を養います。
さらに、薬局を想定した英会話のロールプレイも実施し、ネイティブ講師とのコミュニケーションを通して、5年次の実務実習を見据えた実践的な英語力の育成にも取り組まれています。
これらの取り組みを通じて、単に「英語が得意になること」や「きれいな英文を作ること」だけではなく、英語から必要な情報を得て、理解し、適切に活用する力を身につけることを目指されています。
また、英語に苦手意識を持って避けるのではなく、「まずは英語を見てみよう」と思える姿勢を育てることも、英語教育における重要な目標の一つとしてお話しいただきました。
薬学の専門知識と英語学習を結びつけながら、学年に応じて学習内容を段階的に発展させ、将来の研究活動や実務の場面で必要となる英語の活用力を育成する取り組みについてご紹介いただきました。
以上がご講演の概略となります。平先生のご講演の詳細や、お話に挙がった「ALC NetAcademy PLUS」についてご関心をお持ちいただけましたら、academy@alc.co.jpまでご遠慮なくお問い合わせください。
(文・構成:文教営業部 岸 正子)



