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アドバイザー勤務校事例
大学におけるTOEIC(オンライン IP)の活用と取り組み
(上智大学言語教育研究センター)

玉木史惠 先生
上智大学 英語学習アドバイザー

上智大学言語教育研究センター(CLER)は、2016年3月まで実施していたTOEIC(R) L&Rテスト団体特別受験制度IPテストに替えて、公開テスト団体一括受験申込制度を2016年6月に導入しました。これにより、学生は割引料金でTOEIC(R) L&R公開テストを受験でき、Official Score Certificate(公式認定証)を就職活動などに利用できるようになりました。
また、TOEIC(R) Programの運営を行っている国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)からCLERに送られるテスト結果は、大学のウェブ教学支援システム内にある「外国語検定試験画面」にアップロードされ、各学生はスコアを確認したり、他の検定試験のテスト結果と比較したりすることができるようになりました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京都に緊急事態宣言が発令された2020年4月から大学キャンパスへの入構が禁止され、公開テストの受験を希望する学生が団体一括受験申込制度を利用した申込み手続きを学内で行うことができなくなりました。
そのため、2020年7月から9月にかけてTOEIC(R) L&Rテスト団体特別受験制度IPテスト(オンライン)を2回実施し、学生が割引料金で自宅受験ができるよう便宜を図りました。英語力を測定する機会としてテストを受験した学生が多かったのですが、受験をきっかけとして知識やスキルの不足に気付き、CLERの英語学習アドバイザーに学習相談をした学生もいました。オンラインでの試験形式に不慣れなため実力を出し切れなかったという相談もあったので、IPテスト(オンライン)を再び実施する際にはガイダンスを開催することを検討しています。

CLERの*ESAC (R)英語学習アドバイザーは学習相談以外に、夏期休暇中と春期休暇中に対面授業による「TOEIC(R) L&Rテスト+英語力アップセミナー」を2016年度から行ってきましたが、2020年度はオンライン授業によるセミナーを実施しました。
2020年3月から中止となっていたTOEIC(R) L&R公開テストが同年9月に再開されることになり、就職活動のために受験する学生や、コロナ禍での厳しい就職状況を知って、早い段階で準備して受験したいという1年生と2年生が増えていたためか、夏期セミナーにも春期セミナーにも300名を越える申込みがあり、TOEIC(R) L&Rテストに対する学生の関心の高さをあらためて認識することになりました。
元より、英語学習アドバイザーが目指すのは自律した学習者の育成です。自己学習用の時間を多く取り、自らの学習を主体的にコントロールする学習者を育てることを目標とするセミナーを実施することにしました。毎日約1時間の5日間にわたるオンライン授業では、TOEIC(R) L&R公開テストで実力を発揮するための問題演習の方法と、英語力自体を伸ばすための学習法を、実践活動を取り入れながら講義しました。各自で行う課題では、実際に問題演習に取り組み、学習法を使って英語力を伸ばす練習をするように促しました。
セミナー終了後のアンケートや学習相談には、「集中力が途切れない長さの授業で問題の取り組み方や学習法を具体的に理解して、課題として問題に取り組んだり練習したりすることで、どんな知識が不足していて何を学ぶべきなのか、どんなスキルを伸ばすべきなのかがわかった」、「セミナーで学んだ学習法を使って卒業後も英語学習を続ける」という学生の声が寄せられました。セミナーの趣旨を理解し、自らが学習の主体であり、学習の責任者であると自覚した学生達に頼もしさを感じました。

現在、TOEIC(R) L&Rには、団体特別受験制度のIPテストとIPテスト(オンライン)、そして公開テストという3つのテストがあります。受験者が試験会場に集合する必要がなく、自宅でも受験でき、受験時間は約1時間というIPテスト(オンライン)を採用する企業や教育機関は増加することが予想されます。受験者の本人確認と不正行為が課題となっていましたが、2020年7月にリモート試験官サービスが導入され、2021年3月にはAIを活用した試験監視サービスが開始されて、IPテスト(オンライン)のスコアはさらに信頼できるものになっています。
IPテストだけでなく、公開テストもオンライン形式で受験できる日が来るかもしれません。一方で、信頼性の高いTOEIC(R) L&Rテストの形式がどのように変化しても、学習者が学び、学んだ結果がスコアに反映されるという事実は変化しません。英語学習を続けることは、美しく険しい山を登り続けることに似ています。楽しいことばかりではなく、苦しいことや滑って転ぶこともあります。それでも、自分で登り続けなければ、目標とする頂上に近づくことはできません。
「知らないことは学び、できないことは練習し、前進するために学習を継続する」という謙虚な姿勢で、学習アドバイザーも学生も、英語という壮大な山の頂上を目指して歩み続けます。

※「英語が使える日本人」の育成を目指して、適切・的確かつ、個々の学習者に応じたアドバイジング、メンタリングができる、 プロの英語学習アドバイザーを養成・認定する制度として発足しました。
資格は、英語力やアドバイスカ、経験などにより、「ジュニア」から「マスター」までの4段階で認定されます。資格認定者は、高校・大学・語学学校などの教育機関や企業の人事部など、社会のあらゆる場面で活躍が期待されています。
*ESAC (R): English Study Advisors' Certificateは株式会社アルクの登録商標です。

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