上智大学における外国語教育の取組み
~授業外学習支援を中心に~
5月19日に上智大学 言語教育研究センター 教授(兼)言語教育研究センター長 藤田保先生をお招きし、「上智大学における外国語教育の取組み ~授業外学習支援を中心に~」というタイトルで講演をしていただきましたのでその概要をご報告いたします。
最初に藤田先生は、学生の語学学習を支援する組織である「言語教育研究センター(CLER)」を紹介してくださいました。CLERは2012年4月に開設された全学の言語教育を担う組織ですが、一貫して複言語主義(plurilingualism)を標榜しています。語学教育の重要性を踏まえ、多言語、多文化、多様な社会に対応できる人材の育成に力を注いでおり、学生の言語力を向上させると同時に、異文化理解や国際的な視野を広げることで、グローバルな社会で活躍する人材の育成に尽力しています。
CLERでは、同じく学内組織である「グローバル教育センター」「基盤教育センター」そして各学部学科とも連携し、以下のような取り組みを行っています。
CLERの取組み例
- 言語カリキュラムの開発 / 授業運営
- 海外短期語学講座の開設
- 交換留学海外英語集中講座
- TEAP (Test of English for Academic Purposes) の開発
- LLC (Language Learning Commons) の運営
- Lingua の発行
- FD (Faculty Development) 活動
続いて言語カリキュラムについて紹介していただきました。
上智大学の英語カリキュラムは入学時のプレイスメントテスト(TEAP)を経て、1年時の必修科目である春学期の「Academic Communication 1」、秋学期の「Academic Communication 2」と続き、年末にかけて再度TEAPを使った習熟度テストを実施しています。その後は各自のニーズや希望に応じて英語の選択科目を履修していくことができるようになっています。
このAcademic Communication 1では、講義のノートの取り方やディスカッションなど英語運用能力の向上に主眼を置き、さらにAcademic Communication 2ではCLILを取り入れるなど、英語を学ぶだけではなく「英語で学ぶ」ことを目指し発展的な学習を行っています。
さらに選択科目としては、学術的な英語を学ぶ「Academic English」、通訳・翻訳といった各分野の専門性を追求する「Professional English」、そしてより深くライティングやディスカッションスキルなどを学ぶ「Practical English」といった科目が準備されています。
またCLERでは初習言語として、欧米圏をはじめ、アジア地域、中東、アフリカなど合計22にも及ぶ種類の言語を学ぶ環境を提供しています。
このように幅広い言語教育を提供しているCLERですが、やはり週に数回の講義で習得できる範囲というのは限られています。そこで上智大学では授業外の言語学習を支援する設備として「Language Learning Commons(LLC)」を設置しています。LLCは誰でも気軽に利用できる施設として以下のような取り組みを行っています。
LLCの取組み
- 外国語コミュニケーショングループ
- ライティング・チューター
- 英語学習アドバイザー
- 初習言語学習アドバイザー
- 図書貸出・DVD視聴
- Eラーニング教材「ALC NetAcademy NEXT」
- 語学検定試験等対策講座
- Japanese Language Learning Support Sessions
- Kanji Marathon 等
この中でも「外国語コミュニケーショングループ」や「ライティング・チューター」については学生中心に運営されており、事前にトレーニングを受けた学生チューターが英語をはじめとする各言語による会話練習や論文、レポートの作成についてアドバイスを行っています。
他にも「Language Exchange」として各国からの留学生とその国の言語を学ぶ日本人学生が交流する機会を設け、学生同士のコミュニケーションを通じて異文化にも触れながら言語を学ぶプログラムを提供しています。
また留学を目指す学生や就職に向け英語力を向上させたい学生向けに、英語学習アドバイスのプロである「英語学習アドバイザー(ESAC)」も活用しています。ESAC(English Study Advisors' Certificate)は、英語学習者に対して適切なアドバイスを行うためのプロフェッショナルな人材を養成する資格制度で、アルクエデュケーションが運営しています。基礎的な英語指導はもちろん、TOEIC、TOEFLなどの資格対策、ライティング指導、留学のためのアドバイスなど、英語学習における様々なニーズに対応しています。
その他LLCでは、言語学習に役立つ豊富な書籍・DVDの貸し出しを行っており、「ALC NetAcademy NEXT」といったeラーニング教材も提供しています。またFD講演会や折々の行事に合わせた親しみやすいイベントも企画、開催しています。
以上、藤田先生による上智大学の言語教育の取り組みに関するご講演の概要でした。
ご参加いただいた方からは、上智大学における授業外の言語学習支援策について知ることができて大変参考になった、といったお声をいただいております。
ご講演について詳細を確認したい場合は、お名前とご所属を記載の上、academy@alc.co.jpまでお気軽にご連絡ください。ご所属を確認させていただいた上で、当日の資料などご覧いただくことが可能です。どうぞよろしくお願いいたします。
(文・構成:文教営業部 森山光)