グローバルイングリッシュプログラムにおける学部横断型能力別クラスでの授業実践～オリジナル教科書およびeラーニングの活用について～

2月15日に九州産業大学　語学教育研究センター所長の大薗修一先生をお招きし、「グローバル・イングリッシュプログラムにおける学部横断型能力別クラスでの授業実践～オリジナル教科書およびeラーニングの活用について～」というタイトルでご講演いただきましたので、その一部をご紹介いたします。

初めに、九州産業大学　語学教育研究センターでの活動や取り組みについてお話しいただきました。語学教育研究センターでは、所属教員25名とアシスタント学生を含む事務職員が一丸となって語学教育の企画や研究を行っています。語学教室は10室、CALL教室は2室、LLライブラリー（語学専用の自習室）が1室設置されています。
具体的な活動として、英語ネイティブ講師と決まったテーマをもとにディスカッションをするイベントの実施や、月に1回、英語のニュースレターを作成してイベント情報の発信をしています。イベントでは、English Coffee Hourというお茶を楽しみながらカジュアルに英会話セッションできる時間を提供しています。コロナ禍で中止していましたが、今年度から再開することができました。お昼の時間帯に設定したところ、学生が気軽に来られるようになり、現在は多くの学生が参加されているということです。

また、九州産業大学で実施されているグローバル・イングリッシュプログラムについてご紹介いただきました。プレイスメントテストによって4段階の能力別にクラスを編成しています。最上級にあたるレベル1に在籍する学生は、TOEIC600点以上を数値目標として取り組まれています。

グローバル・イングリッシュプログラムの特徴としては3点挙げられます。
1つめは、学部横断型の能力別クラスにすることです。定期的にプレイスメントテストを行い、少人数の能力別に、かつ学部ごとではなく大学全体で学べるようなクラスになっています。2つめは、オリジナルの教科書の使用とその内容に沿ったeラーニング課題を学生に与えている点で、学生のレベルに合わせた指導を行っています。3つめは、継続的なプレイスメントテスト・アチーブメントテストによる結果の実証です。定期的にテスト結果をもとにした検証を行うことで、学生のスコアアップが確認できている、とのことでした。

こちらのプログラム運営において、難しく感じられている部分についても以下、お話しいただきました。
1 統一の指導ガイドライン作成
2 教員の確保
3 時間割の調整
とりわけ、時間割の調整に関しては、決められた時間数に対して英語の授業をどれくらい組み込めるか検討することに先生方はご尽力されているそうです。

Reading & Writing科目のオリジナル教科書として初級クラスではALC NetAcademy NEXT　基礎からの英文法コーステキストブックを、中級クラスではReading Spotlightという教科書を使用されています。どちらの教科書も大薗先生は開発段階から携わられており、英文法の演習問題については、様々な形式の問題に対応できるよう並べ替えや、空所補充、訂正など、種類豊富に問題を作成し掲載しています。

学生と教員がオンラインでコミュニケーションを取れるサイトとして、KSU LERC Language Labというものがあります。学生はスマートフォンからのアクセスも可能で、予習復習や、教員が課した課題を行っています。メッセージ機能を備えているため、教員がクラス全体あるいは個人の学生に連絡をすることができるほか、学生自身もこのメッセージ機能を通して課題等の疑問解消に役立てています。

コロナ禍では、Moodleを介したオンデマンド型の授業を実施したり、アチーブメントテストをオンライン化したり創意工夫して対応されてきました。現在も課題の提出を先述したKSU LERC Language Labを通して行うなど、一部機能を継続して活用されています。

今後の課題としては教科書とeラーニングの継続を挙げられており、大学生として必要最低限の英語基礎力を養うことを目標に、それぞれのレベルに位置する学生が1段階ずつステップアップできるように引き続き取り組まれていくとのことでした。

以上がご講演の概略となります。
大薗先生のご講演の詳細や、弊社のeラーニング教材ALC NetAcademy NEXTおよび、基礎からの英文法コーステキストブックについてご関心をお持ちいただけましたら、academy@alc.co.jp までご遠慮なくお問い合わせください。
（文・構成：文教営業部　石橋咲紀）