工学部生を対象にした英語学習サポート~TOEIC® L&R対策補習授業と英語学習支援室の運営について~
5月24日に北九州市立大学 基盤教育センターひびきの分室 准教授の木山直毅先生をお招きし、「工学部生を対象にした英語学習サポート TOEIC® L&R対策補習授業と英語学習支援室の運営について」というタイトルでご講演いただきましたので、その一部をご紹介いたします。
北九州市立大学国際環境工学部では、2年生後期修了までにTOEIC® L&Rで470点を取得することを目標としており、これは必修科目の修得条件にもなっています。このスコアは、情報系や理工学系を専門とする大学生の平均点です。しかし、工学部生には英語に苦手意識を持つ学生が比較的多く、英語学習に対するモチベーションも高くはありません。そこで、北九州市立大学ひびきのキャンパスでは、タイトルにある「TOEIC® L&R対策補習授業」と「英語学習支援室の運営」という2つの英語学習サポートを行っています。それぞれの取り組みの成果ならびに課題について、木山先生にご講話いただきました。
補習授業とは、1年生前期にTOEIC® L&Rで470点を取得できなかった学生を対象に、1年生後期に実施される講座です。この英語補習講座は、弊社アルクエデュケーションが担当させていただいております。「教師からファシリテーターへ」という木山先生のお言葉通り、講師による一方的な解説ではなく、学生のペアワーク・グループワークを中心としたアクティブな学びの場であることが特徴です。本補習を実施している時期に470点に到達する学生の割合が、それ以外の時期より最大10%強高くなっているデータから、著しいスコアの伸びという成果が見られます。この結果は、比較的時間があり、モチベーションも比較的高い1年生後期に実施していることが要因の1つではないかとお話されていました。一方で、水・金曜日の5限または6限という時間割の問題もあり、出席率が極めて低いという課題があります。この課題に対して、空いている時間割での授業の実施などによって改善を図るお考えについてもお話くださいました。
英語学習支援室とは、TOEIC® L&Rに関する相談や英会話サークルをはじめとした、英語学習全般の支援をするカウンセリングの場です。この支援室では、アルクエデュケーションから派遣した英語学習アドバイザーが利用される方の支援を行います。アドバイザーは具体的に何かを教えるのではなく、TOEIC® L&Rに向けた学習スケジュールの設定や、初学者の学習方針の策定を手助けします。北九州市立大学では、週2回、20分1枠の完全予約制のカウンセリングを実施しています。また、大学院生も含め、学内のすべての方が利用できるものとなっております。本支援室は、院生の国際学会の発表練習の場や、すでにTOEIC® L&Rで470点を取得した上位層がカウンセリングを受ける場として多く活用されています。こういった、支援が手薄になりがちな層への手助けができることは本支援室の大きな価値だといえます。また、彼らのリピート率は80%程度と非常に高く、本支援室が有効活用されていることがわかります。一方で、ボリュームゾーンである470点以下の学生がほぼ来ないことや、時間に余裕がある学期の中ごろ以外の時期は稼働率が低いという課題があります。改善のために、新入生を中心に学期始まりや学期末のテスト前で忙しく足が遠のきがちな学生への勧誘や、新規利用者の開拓をしていく必要があると、木山先生は仰っていました。
このように、英語を苦手とする学生の支援として、北九州市立大学ひびきのキャンパスでは、「TOEIC® L&R対策補習授業」「英語学習支援室の運営」という2つのサポートを実施されていらっしゃいます。いくつかの課題を抱えながらも、TOEIC® L&Rスコアアップや院生含む学生の英語学習支援という形で成果を挙げられているお取り組みについてのご紹介でした。
以上がご講演の概略となります。
木山先生のご講演の詳細や、弊社の研修事業および英語学習アドバイザーによる自律学習支援についてご関心をお持ちいただけましたら、academy@alc.co.jpまでご遠慮なくお問い合わせください。
(文・構成:文教営業部 中村優介)