東京理科大学と海外大学との国際交流~薬学部および大学院生による国際シンポジウム主催と国際連携~
6月17日に東京理科大学 薬学部生命創薬科学科 教授の青木伸先生と、国際支援課職員様をお招きし、「東京理科大学と海外大学との国際交流 ―薬学部および大学院生による国際シンポジウム主催と国際連携―」というタイトルでご講演いただきましたので、その一部をご紹介いたします。
東京理科大学 薬学部および大学院薬学研究科では、大学院生による海外大学と協力した国際シンポジウム主催というお取り組みをなさっています。この国際シンポジウムは「The International Postgraduate Conference on Pharmaceutical Sciences (iPoPS)」(薬学に関する大学院生国際シンポジウム)と呼ばれるもので、マレーシアの「Universiti Teknologi MARA (UiTM)」と「International Medical University (IMU)」という二つの大学と共同で実施されています。
2010年から青木先生が連携大学とご相談なさって、2012年にUiTMにて最初のiPoPSが開催されました。以降基本的には毎年いずれかの大学で開催されており、第4回と2024年3月に開催された第10回のiPoPSは東京理科大学 野田キャンパスで実施されました。(2020年の第7回も同キャンパスで開催予定で、ほぼ準備が完了していましたが、新型コロナウイルスの影響で実質的に中止)
青木先生が「学生の学生による学生のためのシンポジウムと言ってもよいのでは」とお話される通り、このシンポジウムの大きな特徴の1つは、大学院生が企画運営(開会式、懇親会、閉会式の司会も)するだけではなく、研究者らと一緒に発表を行うことです。ご講演では学会の様子や、学生が作成されたポスターについても画像を用いてお示しいただき、シンポジウムが成功裏に終わった様子がうかがえました。
この取り組みについて、「『海外との交流や留学に興味はあるが、経費や英語力の不安から、一歩踏み出せない』学生に対して、教員側からiPoPSを企画・運営する機会を提供し、それらを経験するなかで、学会参加者に対する気遣いなど、様々な気づきを学生に得てほしい。」とお話しくださいました。また、そのためには責任感があり、就職活動との重複が少ない学生を選び、信じて任せることが重要であることや、予算・場所の調整といった学内外との折衝などといった教員による支援も必要であるとおっしゃっていました。
さらに、青木先生からはiPoPS実施についてだけではなく、研究の場での英語に対するお考えや、学生の国際化支援のお取り組みについてもお話しいただけましたので、ご紹介いたします。
言うまでもなく、現代ではグローバル化が進み、海外との情報交換や議論がますます重要になっています。青木先生からは「こういった時代において、研究する上での日本語によるアイデアの創出や科学の推進はもちろん重要だが、その研究成果を世界に発信するための英語力も必要である」といったお考えや、「海外の研究者と交流する機会では、30分程度でお互いの研究について話す場合もあり、翻訳機などを使わずにコミュニケ―ションを行う能力が必要がある」ことなどをお話しいただきました。また、「英語が必要になるのは研究職だけだと思っている学生もいるが、企業がグローバルに展開している現在では、研究職だけでなく様々な部署で英語が必要とされている」というご指摘がありました。
その上で、学生に必要とされる英語力養成のための活動として、国際学会へ学生同行で参加されていることや、国内外での研究発表を英語で行う機会を設けていること、上記のマレーシアの大学からの留学生や、「IAESTE」という理工系学生のための海外インターンシップ制度を用いた留学生の受入に関するお取り組みなどをご紹介くださいました。
このような様々な学習支援によって、学生に(特に専門分野における)語彙や発音などの習得と、英語での質問を瞬時に理解し、英語で回答、説明するための日常的なトレーニングの場が重要であると仰っていました。
海外留学や、学内の国際交流全般を担当されている東京理科大学 国際支援課様からは、学生向け、教員向けに展開しているサービスの説明がございました。学生向けのサービスとしては、①対面あるいはオンラインでの英会話、②語学試験対策講座やディスカッション講座等のセミナー、③留学体験談や海外で活躍するOBOG講演会などのイベント、④英語プレゼンコーチング、以上の4点の説明がございました。加えて、教員向けのサービスとして「教員向け英語セミナー」などの幅広いお取り組みをご紹介いただきました。東京理科大学ではこれらを学生・教員ともに無料で利用できます。
本セミナーでは特に、弊社アルクエデュケーションが担当させていただいている「教員向け英語セミナー」について詳しくご説明くださいました。
東京理科大学では、2021年度から2023年度にかけて計6回のセミナーをご利用いただいています。プログラムとしては、教員向けだけでなく博士学生向けにも実施いただいている「アカデミック英会話講座」や、今後専門科目を英語で講義される教員向けの「教室英語実践講座」や「英語ファシリテーション実践講座」が実施されています。
いずれの講座も受講者と講師との十分な交流を行えるよう、8名から16名と少人数に限定する方針で実施をされており、3年間で55名の方が受講されました。受講者へのアンケートでは、好意的な意見が90%以上と高い評価をいただいております。
このように、東京理科大学では、「大学院生による国際シンポジウム主催」という取り組みや、大学組織による幅広い英語学習支援を行っていらっしゃいます。
以上がご講演の概略となります。
青木先生、国際支援課様のご講演の詳細や、弊社の学生・教職員向け英語研修についてご関心をお持ちいただけましたら、academy@alc.co.jpまでご遠慮なくお問い合わせください。
(文・構成:文教営業部 中村優介)