鳥羽商船高等専門学校の国際力強化に向けた取り組み~学生だけでなく教職員も含めての英語学習アプリ、TOEIC受験に向けて~
9月20日に鳥羽商船高等専門学校 一般教育科 教授の橋爪仙彦先生をお招きし、「鳥羽商船高等専門学校の国際力強化に向けた取り組み~学生だけでなく教職員も含めての英語学習アプリ、TOEIC受験に向けて~」というタイトルでご講演いただきましたので、その一部をご紹介いたします。
鳥羽商船高等専門学校では、令和5年度より国際力強化という目標を掲げて、様々な取り組みをなさっています。セミナーでは、高等専門学校(以下高専)についてご説明いただいた上で、国際力強化のための具体的なお取り組みや、2018年より実施されているグローバルエンジニア育成プログラムについてご紹介いただきました。
はじめに、高専および鳥羽商船高等専門学校について簡単にご説明いたします。
鳥羽商船高等専門学校は、全国に58校(うち51校は国立)ある高専の1つです。そのうち商船系の高専は、鳥羽商船高等専門学校を含め5校あります。
高専は中学校卒業後に進学できる学校で、一般科目と専門科目をくさび型に配置した5年間一貫教育が特徴です。
続いて、鳥羽商船高等専門学校での国際力強化に向けたお取り組みについてご紹介いたします。
鳥羽商船高等専門学校では、具体的指標を定めた英語教育を行っています。指標には、実用英検、技術英検(旧工業英検)、GTEC、TOEICが用いられています。
上記試験の受験に際しては、様々な支援が行われています。例えば、技術英検をなるべく近場で受けられるよう、コロナ禍前までは受験会場校として、コロナ禍後は団体受験校として受験の機会を用意しています。また、TOEICは希望者だけの受験から4、5年生が全員受験する体制を整えました。
受験機会の提供以外にも、1、2、3年生が受験必須のGTECについて結果を基にした振り返りの講演会を実施したり、4、5年生が受験必須のTOEICは外部講師を招いた対策講座を行うなど、事前事後の学習支援も行われています。
上に挙げたような指標を達成した学生に対しては単位を認定する仕組みを作り、学生の具体的な目標の設定とモチベーションの向上に取り組まれています。
また、指標の設定のほかには、教職員を含めた国際化を目指すため、英語eラーニングの利用環境の整備も行われてきました。
弊社のALC NetAcademy NEXTという英語eラーニングを2023年に全学生と希望した教職員に導入し、2024年8月からは全学生・全教職員に対象を広げて利用しています。内訳としては、3年生の途中までは高校までの復習ができるコースを付与し、4、5年生と教職員にはTOEICの対策ができるコースを付与することによって、全学での国際力強化にご活用されています。
このeラーニングの利用については、進捗状況や学習時間を管理し、成績に反映することで学生の取り組みを促進されているそうです。
さらに鳥羽商船高等専門学校では、国際交流事業も盛んに行われています。これまで複数の地域へ学生を送り出した実績があり、今年も海外でのプログラムを無事終えられたというお話がありました。
そんな国際交流に際しての問題点としては「安心・安全の確保」と「渡航・参加費用の確保」の2点を挙げられています。ご講演ではそれらの解決のために実施されている「外務省 海外安全ホームページの参照、教員2名での引率」と、「奨学金や、企業・学校の奨学後援会からの支援活用」などのお取り組みをご紹介くださいました。
このように、学生の目標設定、学習体制の整備、そして国際交流を始めとした動機付けによって全学での国際力強化という目標達成に取り組まれています。
最後に、国立高専を束ねる国立高等専門学校機構によって2018年から開始された「グローバルエンジニア育成プログラム」でのお取り組みについてお話くださいました。
上記プログラムは、学生をグローバルに活躍できる技術者として育成するため、学生の国際コミュニケーション向上や、海外で積極的に活動するマインド等を育成する取り組みを支援する事業です。
鳥羽商船高等専門学校でもいくつかの事業を上記プログラムに申請していますが、今回はご紹介いただいた「グローバルキャンプ」の開催についてご紹介いたします。
グローバルキャンプは、学内の国際化のため外国人留学生の受入れ拡大を図り、日本人学生と留学生が切磋琢磨し、協力し合って取り組めるよう、英語で高等教育を行うプログラムです。2023年より国立高等専門学校機構によって開始され、今年度もいくつかの国立高専で実施されています。
2024年度には鳥羽商船高等専門学校でも、多国籍グループからなる課題解決型学習「グローバルPBL」を実施します。さくらサイエンスプログラムという外部の事業や、鳥羽商船高等専門学校の学生寮を有効活用することによって、日本で1週間から10日間、様々な国から留学生を招きグローバルな環境を実現しています。
このように鳥羽商船高等専門学校では、学生だけでなく全学での国際力強化に向けた、様々な支援をなさっています。
以上がご講演の概略となります。
橋爪先生のご講演の詳細や、弊社のeラーニングについてご関心をお持ちいただけましたら、academy@alc.co.jpまでご遠慮なくお問い合わせください。
(文・構成:文教営業部 中村優介)