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北海道大学 キャリア支援におけるダイバーシティ ~大学院生を対象とした実践的アプローチ~

10月16日に北海道大学 大学院教育推進機構 先端人材育成センター 特任助教の片垣麻理子先生をお招きし、「キャリア支援におけるダイバーシティ~大学院生を対象とした実践的アプローチ~」というタイトルでご講演いただきましたので、その一部をご紹介いたします。

北海道大学には、全学で2,129人(11.8%)、修士課程では731人(18.6%)、博士課程では814人(33.8%)と多くの外国人留学生が在籍しています。今回のセミナーでは、大学院に在学している多くの外国人留学生のキャリア支援についてご紹介くださるだけでなく、キャリア支援を行う上での考え方や、片垣先生の気づきについてもお話をいただきました。

はじめに、片垣先生が所属されている北海道大学先端人材育成センターの活動についてご説明いたします。
上記センターはもともと理系博士学生の産業界への送り出しを目的として発足し、組織改編を経つつ現在も博士を中心とした大学院生とポスドクを対象としたキャリア支援を行っています。https://fohred.synfoster.hokudai.ac.jp/20-1/1005-1/1131-1.html
今回はセンターのお取り組みの中でも「IHoP」というプログラムについて詳しくご紹介いただきました。このプログラムは、プレゼンテーションや課題発見・解決力など、大学院生の専門性を活かすための「トランスファラブルスキル向上セミナー」や、「日本語習得支援」などの様々なプログラムを主に英語で提供するものです。
ほかに、学内でキャリア支援を行う部署としては「キャリアセンター」があり、両センターの連携によって、学部から大学院までを一貫したキャリア支援を実現されています。二つのセンターの連携については後述いたします。

こういった説明の中で、片垣先生はご自身について「もともと留学生担当として活動していたが、現在は英語プログラム担当と名乗るようにしている」という発言をされていました。この留学生担当から英語担当への変化の経緯としては、学生たちの多様な実態と、彼らへの適切なキャリア支援を検討したことがあったそうです。
例えば、多くの大学では「留学生は日本人と異なる」という前提のもと、学生支援については日本人or留学生というように国籍で担当分けを行っています。一方でキャリア支援については専門性や採用スケジュールを考慮して学部・修士or博士という分類を行います。
こういった分類に対し片垣先生は「留学生のキャリア支援はどこの部署が行うのか?」「日本語ができる留学生は?」「日本語が不得意な日本人学生は?」といった課題意識を抱かれました。また、上のような分類の背景には「留学生は英語が得意で、日本語が不得意」「日本人学生は日本語が得意」「留学生の6割が(渡航前から)日本での就職を希望」などの無意識の差別や偏見があるのではないかと指摘されています。

これらの先入観は事実であることもありますが、「英語よりも日本語のほうが得意な学生がいる」「英語コースの学生でも英語での研究活動は多くの挑戦を伴う」など、実態はより多様です。
このような気づきから片垣先生はご自身について「留学生担当」から「英語担当」と改められたそうです。

実際に、現在北海道大学では「学生を国籍で分けるのではなく、大学のプログラムを言語と対象課程で分ける」という対応をされています。ただし、日本の雇用慣行や就職活動スケジュールに慣れない学生や、言語の問題を抱えている外国人留学生が多数いる事実を鑑み、文化的背景が異なる点には配慮なさっています。
具体的には、先述のキャリアセンターが「日本語で行うプログラム」を、先端人材育成センターが「英語で行うプログラム」を、両センターが英語・日本語で「日本就職のためのプログラム」を展開し、その中から学生が自身で選べるような仕組みを作られています。
また、日本でキャリアパスを拓くための日本語習得支援として「JLPTオンラインハーフ模試」や、弊社の「JSST(日本語スピーキングテスト)」の受験支援も行われています(日本語を学ぶコースは別の部署で対応されており、あくまでキャリアパスを拓くためのもの。)

このように、北海道大学では「文化的背景が異なる事実に配慮しつつ、学生を国籍で分けるのではなく、プログラムを在籍課程と使用言語で分ける」というお取り組みによって学生の選択肢を広げ、大学で標榜しているダイバーシティ&インクルージョンの実現へ向かわれています。

以上がご講演の概略となります。
片垣先生のご講演の詳細や、弊社のeラーニングについてご関心をお持ちいただけましたら、academy@alc.co.jpまでご遠慮なくお問い合わせください。
(文・構成:文教営業部 中村優介)

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