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スピーキング活動を取り入れた大学英語ライティング授業の実践 ~生成系AI時代における一つの試み~

2025年2月27日に東洋英和女学院大学 人間科学部 人間科学科 准教授の関谷弘毅先生をお招きし、「スピーキング活動を取り入れた大学英語ライティング授業の実践:生成系AI時代における一つの試み」というタイトルでご講演いただきましたので、その一部をご紹介いたします。

今日の生成系AI時代では、学生は授業の課題の回答などもAIを用いて出力することができるようになっています。先生方でも生成系AIに対して賛否両方の意見があるかと存じます。
今回のセミナーでは、そんな時代において、関谷先生が大学のライティング授業で実践されている、「スピーキング活動を取り入れたお取り組み」についてご講演いただきました。

冒頭では、関谷先生の経歴や、ご担当されているライティング授業の概要などについてご説明くださいました。
今回のご講演で中心となっていた(中テスト回などを除いた)通常授業は主に、①前回授業に関するコメント(質問)回答、②スピーキング練習、③映画を使ったディクテーション活動、宿題としてライティング練習と振り返りコメントという流れで進行をされているそうです。
ライティングの授業でありながら、授業中にはライティングの活動はなくスピーキングの練習を行っている部分がひとつ特徴的な点と言えるでしょう。関谷先生は続けて、このスピーキング練習の内容についてお話くださいました。

このスピーキング練習の時間では、ペアで交互に話し手と聞き手を担い、先生が決めたトピックについて60秒から90秒話し続けるそうです。このスピーキングの時間でわからなかった表現などについては先生に質問するか、自由に調べるという風にルールを設定しており、ほぼすべての学生はスマホで翻訳アプリや生成系AIを使われると仰っていました。
この生成系AIの使用にあたり関谷先生は、「簡単な表現で教えて」「数パターン教えて」というプロンプトを学生へ教え、よりしっくりくる表現や、高度になりすぎない表現を出力する方法を示されています。
また、文法などについて説明が必要な部分は先生から解説を加えられているとも仰っていました。

関谷先生からご紹介いただいた、前期の振り返りコメントでは「ChatGPTは便利だけど、コピペが当たり前になると考えなくなってしまうのでいろいろなパターンで試して、一番使いそうでしっくりくる表現を使うようにしている」などのコメントが見られました。

さらに回を重ねた後期の授業では、学生がまとまった発話ができるようになったため、トピックについて片方が話し続ける形ではなく、3分間で交互に自由に話す形の活動を実施されました。
後期の振り返りコメントでは「後期の(交互に自由に話す)形のほうが緊張感が少なく話しやすかった」や、「先生と話すのは緊張したが、先生のフォローのおかげで3分間会話できた」などが見られました。
後者のコメントについて関谷先生は「話す、書く場面において先生は間違いを指摘する存在で、注意してくる人という存在がすごく強いみたいですね」といった印象を話されていました。

お取り組みについてのまとめとして関谷先生は、生成系AIがあったらライティングを学ぶ必要はないのでは?という疑問に対し、出力される文(章)の判断には実力が必要であるというお考えを話されていました。続けて、話すように書ける、書くように話せるようになるためAIから学び、「こう言えばよかったのか」という小さな感動が成長に繋がると仰っていました。
また、文章を書くのは本来読み手に伝えたいことを伝えるためで、会話と本質的には同じものであるはずが、「先生は技術的な部分をチェックする存在で、良い評価をしてもらう必要がある」という認識がある点が大きな問題であると指摘されていました。

最後に今後の展望として、ライティングの授業へのスピーキングテストの導入についてお話くださいました。
現在試験的に希望者を対象としてアルクの「TSST」(電話で行うスピーキングテスト)を導入されており、上手く機能するようであれば授業での一部導入も考えていらっしゃるそうです。
(TSSTの詳細はこちら:https://tsst.alc.co.jp/

以上がご講演の概略となります。
関谷先生のご講演の詳細や、ご講演の中でもご紹介いただいた英語スピーキングテスト「TSST」についてご関心をお持ちいただけましたら、academy@alc.co.jpまでご遠慮なくお問い合わせください。
(文・構成:文教営業部 中村優介)

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