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e-learning 活用事例
広島大学
ブレンディッド・ラーニング型授業でスピーキング能力を育成

広島大学
外国語教育研究センター 准教授
森田光宏先生

 ここでは、ALC NetAcademy NEXTを導入し、eラーニングの活用を進める広島大学の授業実践をご紹介いただきます。eラーニングで予習し、授業中には発音練習やグループワークなどでスピーキング能力を育成するブレンディッド・ラーニング型の授業で、自己学習時間の増大と「英語を使う」活動の充実を目指しています。

ブレンディッド・ラーニング

 本稿では、オンライン教材として広島大学外国語教育研究センターに導入された「ALC NetAcademy NEXT中級コース」(以下中級コース)を援用した授業 実践の報告を行う。本実践では、小テストに加えて、授業内での活動にもオンラインでの事前学習が必要になるような取り組み、つまり、ブレンディッド・ラー ニング(Blended Learning)型の授業実践を行い、授業外での英語学習時間をさらに増やすことを目的とした。

eラーニング導入の経緯

 広島大学では2016年度10月に中級コースを導入した。このコースは4技能の養成を図ると共に、語彙力と文法力の強化を目的としている。対象となる英語習熟度は、TOEIC®L&Rで450点程度であり、目標としては600点を目指す内容となっている。コースは「リスニング&スピーキング」「リーディング&ライティング」「文法インプット&アウトプット」の3つのサブコースに分かれている。それぞれの学習内容は表1〜3にまとめた通りである(中級コース、コースガイドを参考に著者が作成)。本実践では「リスニング&スピーキング」および「文法インプット&アウトプット」を用いた。

スピーキング授業における実践

 本実践は、2017年度に筆者が担当した「コミュニケーションIA」で実施した。 この科目は、1年次前期に開講される必修科目で、スピーキング力の養成を中心とするものである。クラス編成は学部群ごとに行われ、入学時に学生から自己申告された大学入試センター試験の結果に基づいて、習熟度別に分けられている。
 本実践では、単に授業外で中級コースの学習を課し、その学習履歴を確認するだけではなく、オンラインでの学習を一斉授業と関連づけるブレンディッド・ ラーニングを取り入れた。学習すべきユニットを表にして第1回授業で配布した。この授業では、教科書は用いず、中級コースのみを教材とした。
 毎回の授業は小テストから開始した。 小テストでは、まず、文法コースをしっ かりと学習してきたかを確認するために文法問題を出題した。
 次に、リスニング&スピーキングの指定されたユニットのリスニングをしっかりと学習してきたかを確認するためのディクテーションを行った。
 小テストが終わった後は、授業内活動を行った。第2から5回および第7回の 授業は発音練習であった。これらの発音練習は中級コースと連動させて行った。
 授業に来る前に指定ユニットの学習を済ませ、特にリズムやイントネーションを意識して例文を録音するよう指示をした。受講生はさらに個人およびペアで練習した後、1人ずつ教員の前で発音をし、教員はすぐに合否の判定とフィードバックを与えた。受講生は一つの例文で合格すると、次の例文に挑戦することができ、合格するごとに小テストに加点された。 第3回目以降の最終16回目まで、同様に 例文の練習と録音を課題とした。
 第6回目のShow & Tellでは、受講生が自分の紹介したいものをクラスに持ち込み、英語で紹介をした。紹介の様子は 個別にビデオ撮影を行い、次の週までに 教員がビデオを見て評価とフィードバックを行うと共に、学生も自分のビデオを見て、自己評価を行った。
 第8から10回では発音練習はせずに、小テストと例文確認の後は、グループで 英語の課題曲を歌う練習を行った。第11 回ではグループごとに教員の前で歌い、この活動では、教員は評価およびフィードバックを行った。グループでの練習を通じて、それまで学習した英語のリズム とイントネーション、子音の発音や音の変化をグループ内で確認し合うことで、 互いに足場がけを行い、より効率的な学びの場を提供することを意図した。
 第12回から第15回はグループで「広島大学をよくするには」というトピックで、グループ発表の準備を行い、第16回にクラスの前で発表を行った。発表はビデオ撮影され、教員とクラスメートはそのビデオを次の週までに見て、評価およびフィードバックを行った。

実践の結果

 広島大学では授業期間の終了時にオンラインでの「授業改善アンケート」を実施している。ここでは本実践に関わりのある項目の一部について報告する。これらの項目は全受講者78名のうち64名(82.05%)から回答を得た。
 「この授業に関する授業時間外の学習(予習、復習、課題等)に週平均でどの程度の時間を使いましたか」という問いの回答では、1時間までが過半数を占め、次いで2時間までが36%を占めた。中級コースは、1ユニットあたり30〜40分程度を学習時間の目安としているため、リスニング&スピーキングからそれぞれ1ユニット、文法コースから1ユニットの合計3ユニットを合わせて90分程度の学習時間となる。受講生はこの想定学習時間と同程度もしくは少ない学習時間を回答しており、期待される学習時間程度には授業外で学習をしたと考えられる。
 図1では、総合的に見た授業の評価および外国語科目に特化した4つの項目についての結果をまとめている。総合的に満足をしたかと言う項目については61% が「強くそう思う」、28%が「そう思う」と回答しており、満足の高い授業が提供できたと考えられる。また、最も重要と考えられる外国語の知識や技術の向上についての項目においても、「強くそう思う」が42%、「そう思う」が53%を占め、外国語の授業としても高い評価を得た。
 フィードバックの確認および教員の工夫については、個別フィードバックを効率的に行ったこともあり、これら2つの項目がよい評価となったと考えられる。
 宿題・課題の量と質についても、「強くそう思う」が36%、「そう思う」が55%を占め、受講生から見ても適当な量と質であったと受け止められていることが分かる。言い換えれば、1時間から2時間程度の授業外学習量は適当であったと受け止められ、中級コースの質も量も適切であったと評価されたと考えられる。

ALC NetAcademy NEXT利用データ

【目 的】総合力強化/学習時間増加
【対象者】学部生、大学院生、教職員(合計で約2000名)
【コース】総合英語トレーニング中級

■利用方法■■
授業の主教材: 授業前の課題として、指定したユニット、 ステップに取り組むよう指示。授業ではPCは使わず、しっかり課題に取り組んだことを確認できるような学習やアクティビティを行う

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