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アルクグローバル通信 (2017年12月)

グローバル教育の現場から

大学教員のための教室英語のご紹介
最近、英語で受講できるコースを設置する大学様が増えています。留学生数の増加や学生の英語力向上などに対応するという様々なメリットがありますが、英語で授業を実施することは容易なことではなく、多くの大学様が英語で授業を行うためのFD研修に力を入れています。 そこで、そのFD研修で、「英語で授業を行なうための研修」を担当する講師より研修内容を紹介いたします。

英語での授業に移行する際の留意点 (吉中昌國)

「授業の質の低下」への懸念
 英語での授業をすることになったときに、専門分野の授業を日本語で実施してきた先生方が最も心配されるのは、授業の質の低下です。「自分の英語力では効果的な授業ができないのでは?」「学生の方でも授業を理解するのが難しくなるのでは?」と感じられている先生方も多くいらっしゃるようです。
 そこで、学生に理解しやすいように授業の難易度を下げ、カバーするトピックを減らすことはできますが、そうすると今度は、教育のレベルが下がってしまう心配がでてきます。
 授業の質を落とさずに英語で教えるためには、学習目標の絞り込みから、質問の仕方の工夫、学習意欲を強める工夫、効果的なフィードバック、留学生の文化への対応まで、さまざまな角度からのアプローチが必要になります。私の担当している研修ではそれを4つのコツにまとめて考えていきます。

英語で授業を実施するための4つのコツ

  • 授業を設計するコツ(学習目標、シラバス、教室英語表現)
  • 学生のやる気を維持するコツ(専門分野の魅力、講座の重要さ)
  • 学生を授業に巻き込むコツ(効果的な質問、フィードバック)
  • 学生の多様性に対応するコツ(文化の違い、会話スタイルの違い)
ノン・ネイティブ・スピーカーとしての話し方
 「授業を設計するコツ」の中では、ネイティブ・スピーカーではない先生が分かりやすく話すためにできる工夫を取り上げますので、その一部を紹介します。
  1. ゆっくりと話す
    ゆっくりと話すことで発音の弱点を軽減し、文法的な間違いを減らしていけます。また、英語が母語ではない学生にとっても、先生がゆっくり話してくれれば授業についていきやすくなり、ノートも取りやすくなります。
  2. シンプルなセンテンスで話す
    高度な英語の学術文献を普段から読んでいる先生は、複雑で長いセンテンスに慣れています。が、それをそのまま授業の中で話し言葉として使おうとすると、文法や発音の間違いが生まれやすくなります。長く複雑なセンテンスは聞いている学生の方も大変ですので、シンプルなものを使うようにしましょう。
  3. 文法のメイジャー・エラーを避ける
    過去、現在、未来の基本時制の間違いは誤解を生むことが多いです。いつの話なのかが分からなくなるからです。能動態と受動態の間違いも意味が逆転することが多く、相手を混乱させます。be動詞や現在分詞のing、過去分詞のedが抜けたセンテンスも分かりにくくなります。逆に、うれしいことに、冠詞の間違い、前置詞の間違い、「三単現」のsの欠落、複数形のsの欠落などは大きな誤解を生じさせることは少ないです。このようなマイナー・エラーは授業で話すときにはあまり気にしない方がうまくいきます。
英語での授業を効果的に行うために
 この研修に参加された先生方からよくいただくのは「英語だけでなく日本語での授業にも役立つ内容だった」というコメントです。授業設計のポイントや学生を巻き込んでいく姿勢、ダイバーシティへの対応などは、確かに日本語での授業でも同様に重要と思います。そんなポイントを押さえつつ、教室英語表現を学び、ノン・ネイティブ・スピーカーとして効果的に話していけば、授業を英語で効果的に実施することができます。

Faculty Guide to Classroom English(Bence Tamas, Ph.D.)

Q:FD研修の実施を通して感じている点などはありますか?
ベン:豊富な専門知識をお持ちで、日々教育に尽力されている先生方とこのような研修で関わりを持たせていただけることを大変光栄に感じています。先生方の中には英語で授業を行うにあたり、完璧な英語を話せないといけないと思っていらっしゃる方もいらっしゃいますが、もちろんそれは必要ありません。また、一部の学生には将来的に英語が必要だが、大部分の学生には必要ないとお感じの先生も中にはいらっしゃいました。そこで私は、英語を運転免許として想像しましょうとお伝えしています。プロのドライバーではなくても、日常生活や就職のチャンスは運転免許のありなしによって大きく異なるでしょう。今の世の中では英語もそのようなものです。

Q:研修の主な構造はなんでしょうか?
ベン:まずは、英語で授業を行う目的、メリット、問題点などについてグループディスカッションを行います。次に教室でよくつかう英語フレーズを使ってペアワークとロールプレイをします。最後に、先生方のデモンストレーションとフィードバックのアクティビティを実施します。全ての活動は大学と先生方の希望と英語レベルに合わせています。この研修で先生方にお持ち帰りいただきたいスキルは3つあります。
①すぐに使える教室英語フレーズ
②実演デモンストレーションとフィードバック
③今後の学習計画の立て方と自己学習法についてのアドバイス

Q:研修のメッセージは何ですか?
ベン:英語で授業を行う目的は、学生の語学力向上だけではありません。自分の意見をはっきり表現できる、意思決定や交渉のとき相手の意見に流されないで発言することを必要とされています。意味を伝えるにはコミュニケーションの手段を増やさなければなりません。このような教え方によって、学生の英語力だけでなく、対話力、コミュニケーション力、自己表現力も向上することができます。このようなスキルの取得は英語スキルの取得と同じくらい大切なことだと思っています。

講師紹介

吉中 昌國 (株式会社アルク 専属グローバル人材コンサルタント)
京都に生まれ、19歳で渡米。15年間の滞米生活を経験。カリフォルニア大学バークレー校大学院で社会学修士号を取得。シリコンバレーで通訳・翻訳に関わる一方で、日本企業の進出をサポートするNGOの会長を務める。現在は株式会社アルクの専属講師として活躍。日本全国の多数の企業と大学で研修を実施している。理念共有研修、グローバル・マインドセット研修、多文化対応スキル研修、ダイバーシティ研修などを立案、実施し、その極め細やかなカスタマイズ対応により高い満足度を得ている。特に大学においては、「英語で効果的に指導するためのFD研修」を20数大学で実施しており、ご参加された先生方から非常に高い評価を頂いている。


Bence Tamas, Ph.D. (ベンツェ タマーシュ、ベン トーマス:株式会社アルク 事業開発本部 教育ソリューション部)
カーロリ大学英米学科修士(MA)、日本語学科修士(MA)。英語教員免許と日本語教員免許取得。2009年に日本文部科学省国費研究留学生として来日。明海大学日本語学科博士後期課程卒業、応用言語学博士号取得(PhD)。研究分野は、社会言語学、言語調査、言語教育論。現在、株式会社アルクにて教師と学習者、あるいは企業向け教材と研修プログラムの開発を務める、教師向けセミナーや研修会の講師をしている。専門は教育論、言語教育、コミュニケーショントレーニング。




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