英語学習アドバイザーの効果をどのように測るか
英語学習アドバイザーを導入される際に、大学や企業の担当者の方からよく伺うのは、アドバイザーを採用した成果をどのように測ればいいかというご質問です。集合研修の受講や各種英語能力テスト受験であれば、クラス内でのパフォーマンスやテストスコアによって、各学習者がどのくらい学習成果を出せたかを数値化しやすいのですが、アドバイジングの機会を持つことによって生じる相談者の内面の変化は客観的な尺度に置き換えるのが難しいという認識が担当者の方にもあるからでしょう。そこで本稿では、英語学習アドバイザーの効果を「質」、「量」の両面から考えてみたいと思います。
まず、「質」についてです。
人それぞれに個性があるように、相談者にも英語に関して得意・不得意分野があり、学習方法の好み、学習可能な時間や場所、過去の学習経験、手持ちの教材やツール等々、相談者はそれぞれ異なる条件や要因を持って相談に来られます。一般的な学習法や学習計画にとどまらず、各人の状況に合わせたカスタムメイドの学習法を相談者と一緒に考えていけるのが、英語学習アドバイザーのメリットです。
英語学習アドバイザーの効果をお伝えするとき私たちはよく薬にたとえて、「漢方薬のようにジワリと効いてくるものです」と、説明します。相談者の自律学習を促すため、ときにはあえて質問にすぐに答えを出さずに相談者本人に考えていただき、相談者に合った学習法や計画が決まるまで、何回も対話を繰り返すといったことも行います。いわば抗生剤のような即効性の効果よりも、時間をかけてゆっくり体質を根本から改善することを目指すものなのです。
もちろん、サポートの結果、英語の各種テストで目標スコアやレベルをクリアしたご報告を受けることもよくあり、アドバイジングの効果をそういった数値で示すこともできますが、一人ひとりにカスタマイズできる英語学習アドバイジングの「質」の効果を見るためには相談者に定期的にアンケートを取ることが最も有効と考えます。
相談者へ行うアンケートでは、個別相談自体への評価とともに、相談者の英語学習に関わる状況に変化があったかどうか(学習時間の増減、学習方法の変化など)、また、自分の英語能力に対する認識や、学習意欲の変化について、相談者自身に自己評価を求めます。継続的に相談に来られる方の自由記述の中には、共通したキーワードが使われています。「学習の習慣化」「目標(計画)の達成」「英語が好きに」「学習が楽しい」といった相談者の英語学習に対する姿勢の変化や相談者が自身を振り返って気付いたコメントなどに英語学習アドバイザーの効果を見ることができます。
以上が、相談者個人に焦点を当てた主に「質」をめぐっての効果測定です。
一方、英語学習アドバイザーを導入いただいた組織全体に関して「効果測定」を検討する場合は、「量」に着目することになります。相談件数の推移、リピート相談者数、またはその割合の推移などを月ごとに追うことで、利用者=学習者側の受け入れの度合い=満足度を推し測る指標を得ることができます。アドバイザー利用者と非利用者に「事前・事後テスト」を課しそのスコア分布の変化をみる場合もあります。
さらに、相談件数と同時にその内容を分類し統計数値を蓄積していくと、特定の組織が意図している英語アドバイス導入の狙いと実際の相談者の利用意向が合致しているかを検証することが可能です。一例をあげれば、海外留学者を増やしたい大学で、留学相談件数が最多でそれが増加傾向にあれば狙い通り、ということになります。留学相談よりも「英語学習そのもの」の割合が高い場合は、学習者ニーズが必ずしも「留学」ではないかもしれないと、今後の施策を検討する材料として「件数の推移」を解釈することで、アドバイザー導入の効果検証に役立てることができます。
このように、英語学習アドバイザーの効果を見る際には、個人に焦点を当てた変化を追うとともに、全体の傾向を見る鳥瞰的視点も重要と言えるでしょう。
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