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セミナーレポート
今、注目の英語4技能試験『IELTS』とは?
~IELTSに関する5つの「?」にお答えします!~

大学のグローバル化 情報交換セミナーVol.38
【開催日】2021年10月8日
【ご講演】公益財団法人 日本英語検定協会
     事務局渉外担当部長 塩崎修健氏

世界140カ国が採用する英語力判定試験

IELTSは近年、TOEFLと並ぶ国際的な英語力判定試験として、日本でも着実に受験者を増やしています。しかしその一方で、「名前は知っているけれど、実際にどのような試験なのかよくわからない」、「TOEFLとは何が違うの?」、「どの国で通用するの?」といった声も聞こえてきます。

IELTSは、International English Language Testing Systemの略です。ケンブリッジ大学英語検定機構が問題を作成する試験で、英国のブリティッシュ・カウンシルと、オーストラリアのIDPという団体が、世界中で運営しています。

日本におけるIELTSは、当初、ブリティッシュ・カウンシルが単独で運営していました。その後2010年の春からは、私たち日本英語検定協会が、ブリティッシュ・カウンシルと共同で運営を行なっています。

日本のIELTS受験者数は、2009年から2016年までの8年間で、およそ8000人から3万7000人へと、4.5倍に増加しました。入試でIELTSを採用する日本の大学、団体受験を実施する教育機関や団体も、2010年からの10年で6倍に増え、認知度が高まっています。

IELTSの試験には、2つのモジュールがあります。ひとつは留学・学業用の Academic Module、もうひとつは、就労や移住を目的とする受験者むけの General Training Moduleです。このセミナーでは、留学に関心のある大学生に適したAcademic Moduleを中心に、よくある5つの質問にお答えしながら、IELTSについて説明していきたいと思います。

入試や英語プログラムの効果測定に活用する大学も

1.IELTSって、英連邦へ留学するための英語試験ですよね?

最初のこの質問の答えはNoです。ちょっと誤解されがちかもしれませんが、IELTSは英国や英連邦だけで認知されている試験ではありません。世界1,600ヵ所で実施されていますし、英語力を測る指針としてIELTSを採用している学校、機関、団体も、140カ国で1万1000を数えます。2019年度の実績では、世界中で350万人もの人たちが、IELTSを受験しました。

もともと英国で開発された試験ですから、英国をはじめ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アイルランドなど、英連邦ではとても広く定着しています。英連邦のほぼすべての大学が、留学生等の英語力を判定する指標として、IELTSを採用しているといっても過言ではありません。

さらにアメリカ合衆国でも、3,400以上の教育機関がIELTSを採用しています。留学生を受け入れているアメリカの大学の大半が、TOEFLと並びIELTSのスコアを認定しているわけです。つまりIELTSを受験して所定のスコアを得ておけば、英語で授業を行なうほとんどの大学で、英語力についての留学要件を満たすことができるのです。実際に、青山学院大学の場合、交換留学出願者の75%がIELTSでの出願ですし、東洋大学では、留学を目指す学生を支援する LEAP (Learning English for Academic Purposes) プログラムについて、IELTSの受験料を全額補助し、 世界各地への留学促進に力を入れています。

2.IELTSの試験って、解答は手書きですよね?

答えはYESであり、NOでもあります。IELTSには、2種類の試験方式があるからです。
従来からのIELTS(IELTS on Paper)は、解答用紙に鉛筆を使って、文字通り解答を手書きします。全国16都道府県で実施しており、受験者数も多いことから、一般的にはこの形態がIELTSとして広く普及しています。それだけに、「IELTSといえば手書きで解答」と思っている方が少なくないのも、よくわかります。

しかしIELTSは、コンピューターで受験することも、もちろんできます。それがCD IELTSです。日本に導入されてまだ日が浅いこともあり、今のところ東京と大阪のテストセンターでのみ、実施されています。CD IELTSではキーボードで解答を入力していきますから、手書きは一切ありません。ちなみにスピーキングテストではコンピューターは使用せず、試験官による面接形式で行ないます。

試験会場が複数あって、タイピングスキルなども不要なIELTS on Paperは、誰でも受験しやすい試験です。対してCD IELTSのメリットは、試験会場は限定されるけれども、試験日程が多くて予定を合わせやすい、通常3~5日後に結果がわかる(ペーパーベースの試験では13日後)といったメリットがあります。それぞれ自分に合った試験方式を選んで、受験してください。

3.IELTSの受験料って、お高いですよね

IELTSの受験料は、2万5,380円です。TOEFL iBTの受験料は240ドルですが、これを円換算すると、1ドル113円の場合で2万7,000円ほど。実はIELTSもTOEIC iBTも、受験料はそう変わりません。

4.受験回数の制限はありますか?

ありません。何度受けてもかまいませんし、前の試験との間をおかず、続けて受験することもできます。
大学の場合、20名以上の学内受験者が見込まれれば、団体受験(IELTS on Paper)もおすすめです。大学として試験日を選べますし、模擬テストなどではない正規のIELTSが受けられるので、結果をそのまま留学などに使用することも可能です。全員が留学必須という立教大学・異文化コミュニケーション学部では、年に一度、全員が学内でIELTSを団体受験していますし、国際基督教大学のように、 年に数回、団体受験を実施する大学もあります。

TOEIC iBTとIELTS (Academic Module)の比較

TOEFL iBT IELTS(Academic Module)
採用国・機関等 英連邦を含む世界160か国、11,500以上の大学や機関が採用。日本国内の大学入試、企業研修などでも活用される 世界140ヵ国、11,000以上の大学や機関、アメリカでも3,400以上の教育機関が採用。日本国内の大学入試、企業研修などでも活用される
試験の主な目的 大学・大学院レベルのアカデミックな環境について、必要とされる英語力を測定 留学や英語での学業に必要な英語力を測定
試験内容 高等機関での授業や学業を前提とした、アカデミックな内容が中心 スピーキングとリスニングは、TOEFLより汎用的で、アカデミックな内容だけに限定されない
試験の形式 ・コンピューターで解答
・スピーキングテストは、録音された英語を聞き、マイクを使って話す
・ライティングでは、一定のタイピングスキルも必要
・慣れ親しんだ筆記式のテストが中心。東京・大阪では、コンピューター・ベースの試験も
・スピーキングテストは、試験官が面接形式で行なう
受験時間 約3時間 約2時間45分
評価/スコア 0から120までのスコア。試験日から約6日後に、オンラインで確認可能 1.0から9.0のバンドスコア。試験日から13日後に、オンラインで確認可能
海外大学留学に必要なスコアの目安 61~100くらい 6.0~6.5くらい
スコアの有効期間 試験日から2年間 試験日から2年間
試験場所・実施日 全国で実施
毎週土日、年間50日/80回以上実施
全国16都市で実施
IELTS on Paperは、大都市では毎月三回の土曜、毎月一回の木曜。その他の地域については要確認。
IELTS on Computer は、東京と大阪で、土日・祝日を中心に毎週実施。
※一部、スピーキングテストのみ翌日に行なう2Daysセッションあり
受験申込み締め切り 基本的に試験の7日前 試験の5日前
受験料 US$245 25,380円

参考:https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/およびhttps://www.eiken.or.jp/ielts/

5.留学以外の用途はありますか?

IELTSは留学だけでなく、日本の大学の入学試験に導入されていたり、企業の英語研修の効果測定などに使われていたりと、さまざまな形で活用されています。たとえば2021年度の一般大学入試では、IELTSの導入率がTOEFL iBTを上回りました。その影響もあってか、高校生のIELTS受験者も増えています。

東京大学では、2013年から毎年IELTSの団体受験を実施しており、TOEFLと共に自学の英語プログラムの効果測定に活用しています。また、希望する学生に対しては、在学中に2回まで、大学の全額負担でIELTSを受験できる制度を設けているとのことです。
同様に、国際基督教大学のリベラルアーツ英語プログラム(ELA)でも、英語力の達成度を確認するために、一定の科目修了時に全員がIELTSを受験するなど、留学という目的に限定することなく、多くの大学が学生の英語力向上にIELTSを役立てています。

英国への学生ビザ申請には、IELTS for UKVI が必要

5つの質問に加え、ここからはセミナー参加者のみなさんからのご質問にも、お答えしていきたいと思います。

Q1.留学志望の学生から、TOEFLとIELTS、どちらを受験すべきか聞かれます。どう答えるのが適切でしょうか。
留学したい大学が、どちらの試験を認定しているかによりますね。両方とも認定している場合は、試験方式や出題の傾向など、より自分に合ったものを選ぶとよいと思います。  試験問題の傾向としては、TOEFLでは、よりアカデミックでインテグレーテッドされた問題が多く、IELTSはもう少しシンプルで、技能ごとに成り立っている問題が中心です。特にIELTSのスピーキングとリスニングのテストは、就労や移住のためのGeneral Training Module と共通ですので、アカデミックではないトピックを題材にした問題も、半分ほど含まれます。スピーキングテストに関しても、IELTSでは試験官による一対一の面接、TOEFLでは録音された音声に対して答えるといった違いがあります。
Q2.IELTSは英国発祥ですが、試験でもイギリス英語が中心ですか?
イギリス英語に限らず、いろいろなタイプの英語が取り入れられています。ただ、日本人が慣れている英語の試験は、アメリカ英語を基調に設計されているものが多いため、IELTSを受けると、アクセントや語彙などが、イギリス英語寄りに感じるかもしれません。しかし問題が解けないようなレベルではまったくありませんので、英語力そのものの向上に努めることで、じゅうぶん対応可能です。
Q3.IELTS for UKVIというのは何ですか?
学士、修士、博士号など、学位取得を目指して英国の大学に留学する場合は、Tier 4と呼ばれる学生ビザを申請する必要があります。この学生ビザ取得のための英語力証明となるのが、IELTS for UKVI (IELTS for UK Visas and Immigration)です。
これは通常のIELTS (Academic Module)とは、また別の試験です。通常のIELTSのテストスコアは、大学に入学申請を行なうときには使えますが、学生ビザ申請には、基本的に別途IELTS for UKVIが必要です。英国留学に際しては、留学先の大学によく確認してください。
IELTS for UKVIにも、紙と鉛筆で受験する方式と、コンピューターで受験する方式があり、受験料は2万9,400円です。

アルクエデュケーションでも、IELTSをはじめ、各種外部英語試験対策講座を 行っております。ご興味のある方はこちらをご覧ください。

アルクの英語研修プログラム アルクの留学アドバイザー

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