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セミナーレポート
TOEFL最新情報2022
~学びの機会を大きく広げるTOEFL活用法~

大学のグローバル化 情報交換セミナー
【開催日】2022年1月13日
【ご講演】ETS Japan合同会社
カントリーマネージャー 根本 斉 氏

生涯学習は、不確実な時代を生き抜くためのキーファクター

VUCA(ヴーカ)という言葉をご存じでしょうか。VUCAは、現代を象徴する4つのキーワード、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑さ)、Ambiguity(曖昧さ)を意味する言葉です。

OECDは、「OECDスキルズ・アウトルック2021:生きるための学習(OECD Skills Outlook 2021: Learning for Life)」のなかで、次のように記しています。

「平均寿命の伸び、急速な技術革新、グローバル化、移民、環境変化、デジタル化といったメガトレンド、あるいはCOVID-19のような突発的な脅威に影響される労働市場や社会においては、Lifelong Learningが重要な成功の鍵となる」

VUCA時代を生き抜くには、生涯を通じて学び続けることが大切だというのです。ますます曖昧で複雑で、移ろいやすく不確かになる世界のなかでは、溢れる情報を取捨選択する力や、正しく時勢を読み取る力、的確な価値判断力などが不可欠です。常に学び続けていなければ、そうした力を獲得することは容易ではないでしょう。

しかも今後もボーダレス化が進む世界では、日本語だけに頼った学びにも限界があります。インターネットで海外の一次情報にアクセスしたり、国内外の人々と情報交換したり、日本にいても、英語力が欠かせないのが現代であり、英語はVUCA時代に学び続けるための、ツールでもあるのです。

TOEFLは、「学ぶために必要な英語力」を伸ばすテストです

その英語力を測る代表的な試験に、TOEFLがあります。留学する際に必要なテストとして、大学生にもよく知られていますが、TOEFLはもともと「学問のための英語力」をみる試験ですから、TOEFLを軸に英語を勉強しておけば、今後ずっと、自信をもって英語で学び続けていくことができます。VUCA時代にこそ、留学に限らずTOEFLを有効活用したいもの。実際に、日本の大学でも、次のような場面で利用されています。

日本の大学でも、TOEFLは活用されています

①大学院入試における活用
TOEFL iBT (internet Based Tests)や、団体受験のTOEFL ITP (Institutional Testing Program)を、多くの大学が大学院入試に導入しています。特に工学、農学、理学、医学、薬学、保健衛生学などの分野、あるいは学際性が高い新たな学問領域を扱う大学院の入試で、盛んに使われています。

1998年創設の東京大学新領域創成科学研究科も、早い段階からTOEFL iBTを大学院入試に採用してきました。その旗振り役のお一人、柳沢幸雄先生東大名誉教授の言葉は、印象的です。

「英語ができる、外国語ができる学生は、学問ができる学生であることの必要条件であり、必須の資質といえます。外国語を学んで身につけるという過程は、学問を修める過程と本質的に同じですから、外国語の習得度は大学院教育の結果を予測する良い指標になります。ただし、英語ができるからといって、全員が、学問ができるわけではありません」

②医学部英語教育における活用
今回のコロナ禍のようなパンデミックも含めて、医療分野における国際協力や、情報共有の必要性は高まる一方です。医療関係者には、医学に加え英語についても、高度なレベルが求められるようになっています。このため医学部でのTOEFL活用も、TOEFL ITPを中心に進んで、それぞれに成果をあげています。

一例として国際医療福祉大学では、医学部の1年生が2021年1月に受験したTOEFL ITPの平均点が、557点と過去最高になりました。1年生のほぼ6割がCEFR B2レベル以上、残り4割もCEFR B1レベルのスコアを獲得しています。順天堂大学もTOEFL ITPを取り入れていますが、どちらの大学も5~6年次においてUSMLE(米国医師国家試験)Step1合格を目指すとのことで、英語で医学論文を読んだり書いたりする「学術目的の英語力」の強化には、とりわけ力を入れています。

③全学教育と英語教育における活用
TOEFLを、全学レベルで英語教育に導入する大学も増えています。すべての学生に、「英語で学ぶための基礎力」を身につけてもらうためです。

英語で学ぶための基礎力とは、たとえば次のようなことです。 英文をサッと読んで要点をつかむ。読んだり聞いたりした内容を元に推論する。論点を整理する。論理的な思考と適切な英語表現を用いて、一貫した話をする。相手が理解しやすい正確な英語で、書いたり話したりするなど。

東北大学の場合、文系・理系ともに学部課程の前半で、EGAP(English for General Academic Purposes=一般学術目的の英語)を身につけられるよう、英語教員全員が連携して、TOEFLの理念を中心にすえたカリキュラムと、教材開発に取り組んでいます。

押さえておきたい、TOEFLテスト最新情報

TOEFLと名の付くテストには、現在5種類がありますが、このうち大学生向けの3つのTOEFLテストについて、特徴やメリットを簡単にご紹介します。

主に小・中学生向け 主に中・高校生 主に大学生 主に大学生・社会人
CEFR A1-B1 A2-B2 A2-C1 A1-C2 B1-C2
TOEFL Primary TOEFL Junior TOEFL ITP TOEFL Essentials TOEFL iBT

ETS Japan / TOEFLテスト⽇本事務局 プロメトリック株式会社 公文研究会GC&T事業推進部

TOEFL iBT®テスト
TOEFLというと、一般にはこのTOEFL iBTを指します。インターネットに接続されたパソコンを個別に使い、リーディング、リスニング、 ライティング、スピーキングの4技能を一度の試験で測ることができるテストです。テストセンター受験か自宅受験かを選べます。

TOEFL ITP®テスト
TOEFL ITPは団体受験用のテストです。従来のペーパー版に加え、2020年4月から、デジタル版(Digital ITP)もスタートしました。Level 1(CEFR A2~C1)と、Level2(CEFR A2~B1)の、2段階のレベルから選んで受験することができます。
これまでスピーキングのテストは含まれていませんでしたが、今年(2022年)の夏以降、スピーキングテストも受けられるようになる予定です。

TOEFL® Essentials™テスト
2021年8月21日に運用が始まったTOEFL Essentialsは、インターネットに接続したPCで受験する、自宅受験型の新しいテストです。特徴は、iBTやITPがアカデミック英語中心であるのに比べ、TOEFL Essentialsには一般英語の要素が半分ほど含まれていること。受験時間も90分程度と短めで、CEFR A1からC2までの広いレベルに対応していますので、あまり英語に自信がないという人も、挑戦しやすいのではないでしょうか。

TOEFL Essentialsには、試験のあとで受験者が英語で行なった自己PR(非採点)を、5分程度の動画として、スコア送付先に提出する「パーソナルビデオステートメント」機能があります。これにより、大学入試で採用した場合、受験者の入学動機や学習意欲などを、動画で確認することもできるようになりました。

TOEFL Essentialsでは、スピーキングを除く3セクション(リーディング、リスニング、ライティング)について、アダプティブ方式(CAT/Computerized Adaptive Testing)を導入。個々の受験者の解答状況に応じて、その場で自動的に出題する問題が変わります。正答するほど問題数は増え、難易度が増し、テスト時間も少し長くなりますが、正答が少なければ難易度が高い問題はオミットされて問題数もセーブされます。結果、各自の英語レベルに最適化された問題で受験し、全受験者が均一に精度の高い測定結果を得ることができます。

《参加者との質疑応答》

Q1.うちはそれほどレベルが高い大学ではなく、学生の英語力もばらつきが大きいのですが、TOEFLを活用する意味はあるでしょうか。
今は海外の大学と英語で合同授業を行なう機会も多いので、英語で学ぶ力を身につけておくに越したことはありません。いきなりTOEFL iBTに挑戦するのが難しい場合は、TOEFL ITP、TOEFL Essentials、TOEFL Juniorといった、比較的易しい試験で現在のレベルを確認したうえで、目標を定めて学習を進めてもよいと思います。

Q2.TOEFL ITP、TOEFL iBT、TOEICの換算表はありますか?
本質的に違うテストですので、正確に換算するのは困難です。試験ごとにCEFRの表でレベルを確認し、参考にしてください。

Q3.iBTの自宅受験と、テストセンター受験のスコアは、同等に評価されますか?
問題も同じですしスコアも同等です。ただ、スコアを評価する側の大学や企業等では、それぞれ独自の判断で、テストセンター受験のスコアのみを認めるといったケースもあるようです。

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アルクエデュケーションでは、英語試験対策のための各種講座・セミナー、およびeラーニングプログラム「ALC Net Academy NEXT」(14コース)をご用意しています。大学様とお打合せのうえ、目的やレベルを把握したうえで、最適なプランをデザインし、ご提案いたします。このほか、ESAC(English Study Advisor's Certificate)の有資格英語学習アドバイザー・留学カウンセラーによるサポートも、多くの大学様にご利用いただき、好評を得ております。ぜひお気軽にご相談ください。

英語研修プログラム ALC Net Academy NEXT 英語学習アドバイザー

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