グローバル人材育成の総合ソリューションパートナー 株式会社アルクエデュケーション
TOP >> 学校法人TOP >> アルク総研ニュース(2020年5月)
                        

アルク総研ニュース(2020年5月)

今月の大学の英語授業紹介

神奈川大学学グループワークで行う、就活を見据えた英語模擬面接


英語を実際に使うことを通して英語を学ぶ手法が盛んになっている。神奈川大学外国語学部で3年生対象に行われているのは、「就活」を意識した作文とそれをもとにした模擬英語面接。学生に切実なテーマで「書く」「話す」を融合させた授業内容になっている。
(写真)イートン・チャーチル先生

■授業の概要■

【科目】英語表現演習
・外国語学部の3年生を対象とした必修科目。
・4レベルのうち上から3番目のクラス(男性3名、女性17名)。
・担当:イートン・チャーチル先生(外国語学部 国際文化交流学科 教授)。
・取材は2020年1月

グループワークで行う、就活を見据えた英語模擬面接

 大学3年生になると、多くの学生が就活を意識し始める。その対策で頭がいっぱいになり、授業が手につかなくなる学生も一定数いるだろう。そんな学生たちをサポートするかのような授業を行っているのが、イートン・チャーチル先生。一見、就職支援を行うキャリアセンターの講座のようだが、無論そうではない。

 「私の授業はコンテンツをメインに、英語の理解力、表現力を伸ばすことが目的。その素材の一つとして、就活を選んでいるのです」(チャーチル先生)。ちなみに前期では『The Element: How Finding Your Passion Changes Everything』という書籍が取り上げられた。才能を発揮して成功した、さまざまな人物について書かれた一般書だ。学生はその中から興味のある人物を選び、他の書籍やウェブサイトでさらに深く調べ上げ、授業で発表・ディスカッションを行ったという。

 実は、そうした前期の授業が、後期の授業の種まきとなっていた。ある人物が、どのような経緯で職業を選び、どのような仕事を成し遂げたのか。それを調べることは、就活を控えた学生にとっては「OB・OG訪問」のような行いだったに違いない。

 取材当日、授業を受けていたのは国際文化交流学科の3年生。これまで学生たちは、授業と英文レポートの課題を通じて働くことへの意識を高めてきた。自分の長所と短所を自己分析し、興味を持った業界や企業を調べ、さらに英語で履歴書も書き終えている。英語表現を身につけながら、就活の練習も同時に行えるという、まさに一石二鳥の授業だ。

業界別に英語模擬面接

 その総仕上げとも言えるのが、英語による模擬面接である。チャーチル先生は、航空業界やホテル業界など業種ごとに5つのグループに分けた学生を、さらに面接官役と学生役に振り分けた。面接時と同じように向き合って座らせ、学生役は志望動機を英語で伝え、面接官役は採用理由を英語で返すように指示を出す。会話の内容が浅くならないよう、いくつかのキーワードを学生に与え、それらを発言に盛り込む指導がされていた。

 先生はグループ間を渡り歩き、面接のやり取りに耳をすます。口をはさむことは、ほとんどない。「私の授業では、普段からグループワークやペアワークの機会をたくさん作るようにしています。私がダメ出しをすると議論が止まってしまうので、ときどきアドバイスをしたり、質問に答えたりするだけです」

課題の英文レポートを使って話す練習

 学生の学習成果を測るために活用しているのが、毎回の課題としている英文レポートだ。テーマを与え、B5用紙1枚程度の英文レポートを書かせている。次の授業までに、学生はテーマに沿った資料を見つけて、読み込み、自分の意見を書かなければならない。提出されたレポートは添削するだけでなく、授業でシェアすることも多い。

 この日は返却されたばかりの自己分析が書かれたレポートを使い、ペアワークでお互いの長所と短所を質問しあう時間もあった。5W1Hを問うInformation Question、確認を問うConfirmation Question、意見を引き出すOpinion Questionといった質問のバリエーションを先生が紹介して促すと、学生たちはレポートを片手に表現を工夫しながら対話を始める。人によって発言量にバラつきはあるものの、押し黙ることはない。すでにレポートを書き上げたことで話せる内容があるからだ。「課題にかける目安は1時間と伝えています。最初は大変ですが、毎週続けることで力がつき、レポート用紙にびっしり書けるようになりますよ」

 前期・後期を通じて教科書は使用しないという。それよりも自分の考えを書かせて、それをシェアして議論させるほうが、表現力の向上に効果があると考えるからだ。「議論はパズルのピースを合わせるようなもの。質問しながら、お互いの持っている情報を組み合わせていくのです」
(写真)自分の課題英作文を元に、発話練習

■参考
アルクでは、「正課授業サポートプログラム」を提供しています。詳しくは下記をご覧ください。
https://www.alc-education.co.jp/academic/task/index.html#section03


◆取材・写真:株式会社ユークラフト



戻 る
ページトップへ
ページトップへ