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アルクグローバル通信 (2018年6月)

国際学生寮「WISH」  首都圏に多くの国際寮をもつ早稲田大学。そのなかで、唯一の大学直営寮として4年前にオープンしたのが、中野区中野にあるWISH(Waseda International Student House)だ。ここでは、国際色豊かな学生を育てるべく、さまざまな学びの仕掛けを散りばめている。WISHならではの国際交流の取り組みや、ユニークなプログラムについて紹介しよう。


(右記写真:グローバルリーダー育成の拠点として開設された「早稲田大学中野国際コミュニティプラザ」にある国際学生寮「WISH」

グローバル社会で必須の教養を「SIプログラム」で身につける

 2014年に設立された、早稲田大学直営国際寮「WISH」。寮内には卓球台やトレーニングマシンのあるフィットネスルーム、防音の音楽室、銭湯のような浴室など、最新の設備がそろう。また、部屋は4人1組のユニットになっており、リビング、トイレ、シャワールーム、キッチンなどは共用で、建物の構造そのものが、なるべく個室から出てコミュニケーションをとれるような作りになっている。
 全学部から1・2年生約870名が入居しており、うち海外からの留学生は約4割。RA(レジデント・アシスタント)と呼ばれる3・4年生34名が一緒に生活し、寮内でのイベントなどを運営している。
輿石直幸先生(理工学術院) 2代目のレジデンスセンター長を務める輿石直幸先生(理工学術院)は、WISHについてこう語る。
 「WISHの設立前から、本学はグローバル化で留学生の数を増やそうとしていました。しかし、問題だったのが宿舎の不足。そこで、なるべくキャンパス近くに寮を作ろうと、現在の土地を取得したのです。純粋な寄宿舎の機能だけでなく、学びの場を入れようということで、1階は生涯学習センターになっています。寮も、単なる住まいではなく、国際化を目指すなかで、生活の場に国際交流の機能を入れたことが大きいと思います」
 WISHの学びの機能の1つが、「SI(Social Intelligence)プログラム」と呼ばれるものだ。新入社員の研修をする企業の人事担当者を講師に招き、新入社員や若手の社会人に向けて行っている研修を、学生向けにアレンジして提供してもらっている。平日19時から90分間、寮内で行われており、寮生は週に1日以上の参加が義務づけられているという。

コンテンツの柱は、
◉ Global Communication
◉ Self-Motivation
◉ Faculty Visit
◉ Career Seminar
の4つ。

Global Communicationは、主に英語で文化や社会の違いを学ぶもの。英語そのものの学習ではなく、英語で何かを学ぶことがポイントだ。
 受験を終えた多くの学生たちは、大学合格がゴールであったため、入学後の学習へのモチベーションが下がってしまう。そうではなく、社会人になるまでにどう生きていきたいか、自ら人生のプランニングをしようというのが、Self-Motivationだ。学生同士でディスカッションすることで自分の目標を可視化し、考えを共有することで、人生の目的を考えるプログラムになっている。  大学に入ると、自分が選んだ専門分野を中心に学ぶことになるが、他の専門領域について知識を得るメリットは少なくない。そこで、学内のいろいろな専門分野の先生を呼んで、1〜2年生向けにわかりやすく話をしてもらう機会を設けているのが、Faculty Visitである。
Career Seminarは、民間企業の人事担当者に協力してもらい、説明会やグループディスカッションなどをする場だ。企業側も工夫を凝らし、1・2年生向けにあまり「就活」の色を出しすぎていないところがポイントだという。
 こうして、早い段階で自分の将来像を描くこと、学んでいる科目の意味を知ること、社会に出て必要な教養を身につけることなど、多くの刺激をもらえるのが、SIプログラムの特徴といえる。
 積極的に参加した学生には、国内・海外研修のチャンスがある。例えば、「ある物に付加価値をつけ、どうしたらその国で売れるか企画せよ」といった課題に対し、全員で話し合って最終日にプレゼンテーションを行う。与えられた課題を、決まった期間でこなさなくてはならない大変さはあるが、その分貴重な経験になることは間違いない。
 こうしたプログラムを寮で行う意義は、国籍や学部といった異なるバックグラウンドをもった仲間と取り組める点にある。特に、生活と学びがリンクした場での異文化コミュニケーションは、非常に有効だという。

RAの活動の財産は強固な人脈と国際的な感性

 WISHで学び、現在はRAとして活躍する2名の学生を紹介しよう。

河合慶祐さん  国際教養学部4年生の河合慶祐さんは、高校3年間をアメリカで過ごし、卒業後の9月からWISHに入寮。1年後に、見習いRAであるジュニアRAに応募した。
 「15歳のとき、全く英語が話せないなかでアメリカの高校に行きました。しかし、現地の人に日々助けてもらったことで、楽しい高校生活を送ることができたのです。今度は自分が海外から来た人たちを助けたい、恩返ししたいと思ったので、RAに応募しました。RAになったことで、人とのコネクションが増え、寮生のほぼ全員を知ることができました」
 寮内のイベントは、RAが企画して運営する。企画書が通れば、大学から予算をもらってイベントが実現できるのだ。
 「日曜日に、国ごとの定番の朝ごはんを作って寮生にふるまうイベントを企画しました。授業とバイト、サークルとの掛け持ちは大変ですが、非常にやりがいがあり、毎日楽しく取り組んでいます」

宮田泰盛さん もう一人は、文化構想学部4年生の宮田泰盛さん。山口県出身の彼は、小学生の頃から英語に興味があり、地元の英会話教室に通っていた。しかし、WISHに入って、ほかの学生の英語力の高さに驚かされたという。
 「たまたま一緒になったルームメートが、TOEIC950点と言っていてとてもびっくりしたのですが、だからこそ自分ももっと話せるようになりたいと、刺激を受けました。最初は発音などを気にしていたのですが、WISHに入って、ジェスチャーでもいいからとにかく〝伝えようとする気持ち〟が一番大切だと学びました。RAになろうと思ったのは、1年生のときのRAがとても素敵な人だったから。まだ友達がいなかった僕に、悩みはないかと聞いてくれたり、キッチンで一緒にご飯を食べてくれたりして、自分もこんなRAになりたいなと思ったのです」
 将来は、ニュージーランドで牧場生活をしたいと語る宮田さん。ニュージーランド出身のRAから祖国の話を聞いて引かれたという。いわく、「せっかくWISHで視野を広げたのに、実際に体験しなかったらもったいないじゃないですか」。WISHからは、こうしたグローバルスタンダードな感性をもった、頼もしい人材が羽ばたいていく。
 WISHの当面の課題は、SIプログラムへの参加率を上げること。就活がまだ身近でない1・2年生にとって、同プログラムのありがたみや必要性があまり感じられないのは事実だという。長い目で見て、単位制にすることも検討している。
 輿石先生に、WISHの今後について伺った。
 「WISHで築いた濃い関係は、卒業後も続いていってほしいと思っています。そのための仕掛けとして、WISH稲門会を作りました。現在のSIプログラムでは、企業向けのものを改良して提供していますが、ゆくゆくは本学自前で行いたいということで、卒業生に講師になってもらうことも視野に入れています。それが、より強固なネットワーク作りと、WISHの文化の継承につながっていくことを期待しています」
 国内でいち早く国際化の波に乗った早稲田大学。世界で活躍できる学生の教育を目指すWISHからは、国内外問わずその才能を発揮する人材が、今後多数輩出されるだろう。



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