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セミナーレポート
いま、あらためて
TOEIC® L&R IPテスト オンライン版説明会

アルクでは2021年5月28日に「いま、あらためて TOEIC® L&R IPテスト オンライン版説明会」と題したセミナーをオンラインで開催しました。

TOEIC® Listening & Reading(以下、TOEIC L&R)団体特別受験制度(IP:Institutional Program、以下IPテスト) は2020年4月からオンラインでの受験が可能となり、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下で、すでに多くの企業・大学で採用されています。セミナーでは、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の永井聡一郎様、TOEIC L&R スコアアップ請負人の早川幸治様にご登壇いただき、オンライン方式 の概要やセキュリティー対策、マークシート方式との相違点などについてお話しいただきました。当日の模様をレポートします。



<第1部>
講演者:永井 聡一郎 様
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)
IP事業本部 IP普及ユニット ユニットマネジャー

オンライン方式とマークシート方式の違いは?

第1部ではIIBCの永井氏より、TOEIC® Program IPテスト オンライン方式の特徴についてお話しいただきました。

TOEIC® Program IPテストは、個人で受験する公開テストとは異なり、企業や大学などの団体内で実施されるテストです。「TOEIC® Listening & Reading Test」「TOEIC® Speaking & Writing Tests」に加えて、初・中級者向けの「TOEIC Bridge® Listening & Reading Tests」「TOEIC Bridge® Speaking & Writing Tests」があり、いずれもオンラインでの受験が可能です。

TOEIC L&R IPテストのマークシート方式は紙と鉛筆を使用して受験しますが、オンライン方式はパソコンやiPadを使用して受験します。試験時間は1時間(マークシート方式は2時間)、問題数は90問(マークシート方式は200問)。スコアはマークシート方式と同様に10〜990点で算出され、テスト終了直後に確認できるほか、PDF形式でのダウンロードも可能です。

オンライン方式の大きな特徴は、リスニング、リーディングの各セクションがUnit 1(25問)、Unit 2(20問)に分かれていること。Unit 1は全受験者に共通する問題ですが、その正答状況により、Unit 2では「初中級」「中上級」いずれかのレベルに応じた問題が出題されます。受験者が自分の英語力に合った問題を解くことで、マークシート方式より少ない問題数でも正確なスコアを算出できるようになっているそうです。


AI監視サービスの導入で活用の場面が広がる

IIBCでは今年3月、AIを活用した新たな監視サービスを導入しました。このサービスでは、テスト受験中の録画データをAIが解析し、受験者の入れ替わりや複数人の映り込み、目線の動きなどを自動的に検知します。一方、2020年7月より導入されている「リモート試験官サービス」は、Zoomを活用して試験官を配置し、本人確認や試験中のモニタリングを目視で行うもの。「これら2つの監視サービスを活用することで、昇進・昇格や成績評価といったより重要な目的にも安心してご利用いただけるようになった」と、永井氏は話します。

オンライン方式は、受験者にとって「自宅で好きな時間に受験できる」「結果を即時に把握できる」などの利点があります。団体の担当者にも「感染対策を気にする必要がない」「ヘルプデスクによるサポートがあるため運営負担が少ない」といったメリットがあり、受験機会を増やしたり、全国の拠点を対象にしたりすることにつながっているようです。

ご講演ではまた、オンライン方式のTOEIC® Speaking Test(以下、TOEIC Speaking)、TOEIC Bridge® Speaking Testについてもご紹介いただきました。自宅から受けられるため、受験者からは「周りの人に聞かれているかもしれないというプレッシャーから解放されたことで、より本来の力を発揮できた」という声もあったそうです。

「オンライン方式の導入により、TOEIC L&R IPテスト、TOEIC Speaking IPテストのどちらも実施していただきやすくなった。両方を活用することでインプットとアウトプットの力を交互に測定しながら、総合的な英語力の習得につなげて欲しい」と永井氏がまとめ、第1部が終了しました。




<第2部>
講演者:早川 幸治 様
TOEIC L&Rテスト スコアアップ請負人、英語講師

初級者が実力を発揮しやすい場合も

第2部は、これまで多くの企業や高校・大学で英語を教えた経験を持つ早川幸治氏より、オンライン方式TOEIC L&R IPテスト の印象やその有用性、対策ポイントなどについてお話しいただきました。

オンライン方式のテストを実際に受験して「すごくいいテストと感じた」と話す早川氏。マークシート方式 と比較して半分の時間で実施できる、スコアをすぐに確認できる、英語力を発揮しやすい、本来のスコアが出やすいという4点が主なメリットだそうです。一方、デメリットは不正への懸念と、パソコン等の環境による使い勝手の違い。ただし、不正への懸念については第1部で説明があった監視システムの導入により解消されそうです。

メリットに挙がった「英語力を発揮しやすい」「本来のスコアが出やすい」という点は、特に初級者に当てはまるとのこと。オンライン方式ではUnit 2の出題内容がレベル分けされているため、初級者は難易度の高い問題に時間を取られることなく自分のレベルに合った問題に注力でき、スコアが上がることがあるようです。

オンライン方式ならではのテスト対策とは

早川氏は、TOEIC L&R に必要な3つの力として、①英語力(知識)、②情報処理能力(スキル)、③対策力(テスト戦略)を挙げます。マークシート方式かオンライン方式かにかかわらず、最も大事なのは①と②を中長期的に伸ばしていくこと。③については、使用する教材は同じであるものの、対策の仕方に若干の違いがあるそうです。

ポイントはやはり、Unit 2の出題内容がレベル分けされていること。「500点くらいのスコアを目標にしているのであれば、テスト対策で難易度の高い問題は扱わなくていい。反対に800点、900点を目指すのであれば、易しい問題を外し、難易度の高い問題だけを集中的にやるのもいいでしょう」と、早川氏は話します。このほか、「オンライン方式ではPart 3(会話問題)、Part 4(説明文問題)で設問と選択肢を先読みする時間がない」などといった仕様に関する相違点も紹介されました。

「テストを受けて自分の現在地を確認しても、そこで終わってしまってはダメ。そこから学習して知識をつけ、トレーニングでスキルを身につけて、再びテストを受ける。これが、効果的なTOEIC L&Rの学習サイクル です」と早川氏がまとめ、第2部が終了しました。


Q&Aセッション 〜今後の動向やスコアの出方など〜

講演後のQ&Aセッションでは参加者の皆さまより多くのご質問が寄せられ、永井氏、早川氏それぞれにお答えいただきました。その一部を一問一答形式でご紹介します。

Q. IPテストだけでなく、公開テストもオンライン化の予定があるか。
永井氏:公開テストについては、現在のところオンライン化は予定していない。

Q. オンライン方式ではマークシート方式よりもスコアが高く出るといった傾向があるか。
永井氏:どちらの方式でもスコアに変動はなく、これはTOEIC® Programの 開発機関であるETSが理論や調査結果に基づいて確認している。また、IIBCでも独自調査を行った。 実際に企業からは、平均スコアは変わらなかったという声をいただいている。 ただし、一部の大学からスコアが上がったという声もいただいた。初級英語学習者、特に200点、300点くらいの方々でそういう傾向があるようだ。1時間だと集中力が保ちやすく、より実力が発揮されたケースがあるのかもしれない。

Q. 企業や大学で、今後もTOEIC L&Rの採用は続きそうか。あるいは、TOEIC Speakingに移行すると思うか。
早川氏:完全に私の主観だが、TOEIC L&Rは使われ続けると思う。英語の重要性が低くなることはなく、海外出張が減ってもZoom等を通してのやりとりは減らない。一方で、現在英語を話す機会はそれほどないものの、将来的に英語が必要となる人が増えることにより、スピーキング力を測るためにTOEIC Speakingも導入するという企業・大学は増えてくると思う。

Q. 社内でTOEIC L&Rに前向きでない人には、どのように回答すればよいか。
早川氏:TOEIC L&Rで実務に必要な英語力がきちんと測れるという、プラスの情報を与えるとよい。また、実際に学んでトレーニングをすると英語力が身に付くということを体験して実感してもらうといいだろう。


(取材・文:いしもとあやこ)

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