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セミナーレポート
コロナ禍でも大学で導入されている留学プログラムの紹介
~留学の流れを止めない仕組みと試み~

大学のグローバル化 情報交換セミナーVol.37
【開催日】2021年9月30日
【ご講演】一般社団法人海外留学協議会(JAOS)
     理事・事務局長 星野 達彦 様

学生の留学志向はコロナ前後でほぼ変わらず

海外留学についてもコロナ禍の影響は深刻で、昨年は完全にストップ状態でした。しかし今年になってワクチン接種が進んだことで、だいぶ様相が変わってきています。オンラインで海外大学との共同授業を行なう大学や、留学プログラムにオンラインでの活動を交えて実施する大学も出てきており、明らかに潮目が変わってきました。

文部科学省の調査によると、留学に対する大学生の意識は、コロナの前後でほとんど変化していません。もともと留学に関心がある大学生に聞いた別の調査では、もしこのままコロナ禍が続いた場合でも、「非常に留学に行きたい」、「やや行きたい」という人が半数以上を占めていました。(全研本社株式会社提供「コロナ禍の留学の実態」に関する調査)。こうしたことからも、大学生にとって、留学はタイミングが大切であることがうかがえます。

危機が去ると留学生数は大きく増加する

留学生の数というのは、国際情勢上の危機や災害などがあればガクンと落ち込み、その出来事が落ち着くと、またドンとジャンプアップして増加する傾向があります。阪神・淡路大震災や、米国同時多発テロが発生した年、日本人の長期留学生数は大きく減り、事態の収束とともに一気に持ち直しました。SARSのあとも、東日本大震災のあとも同じです。
災害等で落ち込んだ留学生数が、収束後に大きく増えるのは、留学を我慢していた人たちが一斉に海外に出ていくことも、理由のひとつでしょう。しかし私が東日本大震災のあとで強く感じたのは、生きるか死ぬかの出来事を経ると、若い人たちのマインドセットそのものが大きく変わるということです。
「自分が本当にやりたいことをやるべきだ」とか、「これからは日本にだけ固執していてはだめだ」とか、そうしたことに思い至る人が若者にも保護者にも増え、それと連動するように留学する人が増加する。そんな印象を私はもっています。

今回のコロナ禍は長引いてはいますが、いつかは収束するでしょう。すると留学を希望する学生が大きく増えると予想されますので、大学におかれては早い段階から、サポート体制を作っておくことが大切だと思います。

コロナを機に広がった、オンライン留学への関心

さて、留学を希望する学生は大勢いても、コロナ禍が完全に収束したわけではないため、誰でも自由に留学できるという状況には未だ至っていません。状況が好転するなかでも、23.4%の大学が「留学はまだ難しい」と考えており(全研本社調べ)、学生が休学して個人的に留学しようとする場合でも、思いとどまるよう説得することもあるようです。

こうした状況下で注目されているのが、オンライン留学です。語学研修から、海外大学の正規授業、PBL、インターンシップまで、プログラムも多彩です。こうしたプログラムに、日本にいながらリアルタイムで参加し、留学に準じる海外体験が安全にできることは、学生にとって大きな魅力といえるでしょう。

実際に、留学を希望する大学生の多くは、「オンラインでもいいので留学したい」と考えています。その70%近くが語学留学に関心をもち、さらに、「オンラインでも、短期でもいいから、海外の大学や大学院の正規授業を受講し、単位を得たい」というハイレベルな希望をもつ学生も66%を占めるなど、学生の関心の高さがわかります。(資料:文部科学省「トビタテ!留学JAPANサイト」)

どんな時も留学の流れを止めない仕組みをつくる

大学にとっても、今はオンライン留学の可能性を考えるよい機会です。今回のコロナ禍が収束しても、将来また、何かのパンデミックが起こらないとも限りません。海外渡航が難しい状況に備えて、今のうちにオンラインを活用したプログラムを設計し、留学の流れを止めない仕組みを、学生のために作っておくことが必要です。

海外での活動とオンラインでの活動を、両方とも取り入れた「ハイブリッド型」の留学プログラムは、平常時から活用することができる、新たな海外研修の形です。日本でできることは事前にオンラインでやって、その後、海外でしかできないことを海外でやる。最後に日本に戻ってから、全体をラップアップするという流れです。

オンライン留学やハイブリッド型の留学では、費用や時間の面で学生のハードルが下がるため、参加者の増加が想定できます。夏休みだけでなく、学期中に実施する、通常の授業に導入するといったことも可能です。アフリカ、南米、中東など、なかなか交流がもてない国もオンラインならカバーできますから、プログラム自体の可能性も広がります。

すでに多くの留学事業者が、海外大学と協力して設計した短期オンラインプログラムを、日本の大学向けに提案しています。現地交流、課題解決型、SDGs、STEMなど、いずれも時流に即したキーワードをカバーする内容となっており、好評を得ています。
私たちJAOSも文科省の委託事業として、海外留学相談ホットラインを設けていますので、何かあればご相談ください。ポストコロナを見据えて、ご一緒に新たな海外研修プログラムを開発していきましょう。

《会場との質疑応答》

Q1.海外オンラインプログラム参加には、高い英語力が必要ですか?
モニター越しではニュアンスが伝わりにくいため、英語力はより高いに越したことはありません。しかし海外の大学生との交流や、チームでのディスカッションでは、語学力以上に、自ら考え発言する積極性が求められます。英語についてはサポートも付けられますし、最初に英語のオンラインレッスンを2週間くらい集中的にやってから、メインのプログラムに入ることも可能です。
Q2.海外とのオンラインセッションでは、時差はどうなりますか?
基本的には日本時間に合わせ、常識的な時間帯で現地と調整し、設定しています。
Q3.オンラインプログラムでも、(日本の)大学は単位を出していますか?
ほとんどの大学は、2、3週間の短い研修では単位を出していませんが、授業の一環としてこうした研修を導入する場合は、単位を与えることもあると思います。
Q4.オンライン留学ならではの利点は何ですか?
さまざまな国や地域との間で実施でき、ひとつのプログラムに多様な民族・国籍の学生が集まることも可能です。渡航費や滞在費がかからない分、経済的な負担が抑えられます。
Q5.コロナ禍のリアルな留学について、感染対策等のポイントを教えてください。
万一の場合、誰がどう対応するか、事前に把握しておくことが重要です。懸念材料については、ひとつずつ現地大学に確認し、日本側でもすぐ対応できるよう準備を整えます。
Q6.英語が苦手な学生にも、海外プログラムに関心をもってもらうには?
留学体験者や、同じプログラムに参加した学生に直接話をしてもらうと、共感が得やすく、仲間の小さな成功体験が励みにもなります。留学事業者の現地スタッフの話も、プログラムへの興味を引き出してくれます。
Q7.オンラインでのインターンシッププログラムでは、学生の満足度はどうですか?
日本側でメンターやサポート担当者を置き、困ったことやわからないことはないか、毎回、学生に確認することが、着実な成果と学生の満足度アップにつながります。

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オンライン留学や、オンラインによる各種海外研修プログラムの成功には、日本の大学サイドのていねいな事前準備が欠かせません。アルクエデュケーションでは、留学向けの各種プログラムを準備していますので、ご興味のある方はこちらをご覧ください。

アルクの英語研修プログラム アルクの留学アドバイザー

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