こんにちは。グローバル人材育成の「アルク」のライティングチームです。
業務やビジネス環境のグローバル化が進むに伴い、海外要員ではない一般社員にも、一定の英語力が求められる機会が拡大しています。こうした状況をどうとらえ、社員全体の英語力を今後どう底上げしていくべきでしょうか。この記事では、グローバル化のトレンドを確認し、全社員を対象とする英語研修のあり方について考えます。
海外要員に限らず、社員全体についても、英語力の底上げを真剣に考える企業が増えています。そこには日本から海外へ出ていくアウトバウンドのグローバル化と、海外から日本に向かうインバウンドのグローバル化という、近年の大きな2つのグローバル化の潮流があります。
「外へのグローバル化」は、文字通り企業の海外進出です。
あらゆる業種における、「海外生産比率・海外売上高比率」は、2019年度、2020年度と、コロナでいったんガクンと落ち込みました。
しかし2025年度の中期的計画では36.3%にまで増加1)し、コロナ前の状態に回復すると予測されています。この先、海外拠点とのやり取りや、実際に海外へ行って業務を行う機会は、これまで以上に増えていくでしょう。
「外へのグローバル化」の進展は、日本企業のグローバル戦略動向調査にも顕著です。
中期的な成長マーケットとして、「国内および海外市場の両方」、「海外市場のみ」、「どちらかといえば海外市場」を挙げる企業は、全体の64%。中期的な海外事業への投資を、「今後強化・拡大する」とする企業も、同じく全体の61%と過半数を占めています2)。
労働人口が減少の一途をたどるなか、グローバル人材を新たに採用するだけでは、やがて海外進出のスピードに追いつくことができなくなります。現役の一般社員にもグローバル志向をもってもらい、英語を使って海外とやり取りができる人材を、全社的に育成していくことが急務となっているのです。
1)「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」----2022年度 海外直接投資アンケート調査結果(第34回) ----(国際協力銀行 企画部門 調査部, 2022)
2)日本企業のグローバル戦略動向調査2023-2024(PWC Japanグループ)「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」----2022年度 海外直接投資アンケート調査結果(第34回) ----(国際協力銀行 企画部門 調査部, 2022) ※2023年6月、サンプル数296人、年商5000億以上の企業の課長職を対象
社員全体の英語力強化が求められている2つ目の理由が、「内なるグローバル化」の進展です。
最近ではコロナの影響も落ち着き、海外からの旅行者や留学生、在留外国人の姿も町に戻ってきました。日本の労働現場では、外国人労働者数が約182万人3)と過去最高を更新。企業にとって外国籍社員の採用は、今後より身近に、より盛んになっていくでしょう。
実際に、海外のとのやりとりや、外国人顧客への対応など、日常業務の中で外国語話者が必要な状況は、日本国内にあっても、いまやまったく珍しいものではありません。
それに職場に外国籍社員が増えてくれば、「日本国内にいるから英語は必要ない」などと、言ってもいられません。「この部署ではたぶん英語は使わないだろう」とか、「日本語ができる外国人を採用しているから問題ないだろう」といった発想から、企業自体が抜け出す必要があるのです。
経理職の社員が、海外のカウンターパートと英文メールでやり取りする。営業職の社員が、担当する商品やサービスの説明を英語で行う。技術職の社員が、オンライン会議で英語のプレゼンテーションをする......。
国内にあっても、こうした状況がどんどん当たり前になっています。限られた'グローバル要員'に頼るだけでなく、社員の誰もが、まがりなりにも英語を使って、日々の仕事を完遂できるかどうか。
グローバル化の波のなか、それは企業の未来を占うカギのひとつだといってもよいでしょう。
企業がグローバルビジネスの拡大を目指すのであれば、それはそのまま「外へのグローバル化」です。外国籍社員の採用が活発になり、外国人の顧客が増えれば、「内なるグローバル化」も進んでいきます。
3)「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (厚生労働省、2022年)
資料「グローバル人材育成の成功事例4選」をダウンロードすべての社員の英語力向上を図るといっても、社員はそれぞれ部署が違い、専門分野も異なりますから、英語を使う頻度も、仕事で必要な英語技能も、知っておくべき英単語さえ千差万別という状況が出てきます。英語習得に対するモチベーションも、やる気も、英語力自体も、人それぞれだと思ってよいでしょう。
そうした多様な社員の誰もが参加できて、なおかつ、英語力が確実に底上げできる研修とは、どのような研修なのでしょうか。担当者のよくあるお悩みを元に、考えていきましょう。
資料「英語研修の手引1」をダウンロード最初は学習者の<意識>に関する課題です。
企業方針として英語の必要性を掲げていても、いま現在、外国人とのやりとりに直接携わっていない部署の社員にしてみれば、「なぜ自分まで英語を学ばなくてはならないのか」、「英語ができるようになったからといって、自分にどんなメリットがあるのか」といった疑問が噴出しがちです。
「これからはどんな職場でも、一定の英語力が必要になってくる。今からそれに備えておく必要がある」といったことが、まだ自分ごととしては、受け止められていないのです。
このような場合、「英語の社内英検」を通じて、全社員が課題と向き合う機会を設け、学習の明確な動機付けを行うと効果的です。年に1度の健康診断で、自分の健康状態に注意を向け、改善すべき点に気づいて努力を始めるのと同じことです。英検でよい結果が出れば、学習継続の励みにもなるでしょう。
できれば、英語の知識量を測るTOEIC®と、実践的な運用力をみるスピーキングテストと、2軸でのアセスメントが理想ですが、難しい場合はスピーキングテストを通して、その人なりの英語の知識量を、どの程度活用できているかを見るようにします。
次は<研修の選び方>に関するお悩みです。
社員の英語レベルがまちまちだからと、真ん中をとって一律に中級レベルの英会話を提供しても、全員にフィットすることはありません。
また、スキマ時間を使ってコツコツ勉強したい、音声や映像で気軽に学びたい、時間をとって集中して取り組みたい、講師にフィードバックもしてもらいたい、オンライン英会話は緊張するから嫌だなど、好みの学習スタイルも十人十色。合わない方法では長続きせず、学習効果も出にくいものです。
このようなお悩みがある場合は、英語力のレベルや学習スタイルの多様さに対応できるよう、さまざまな「英語ツール学習を組み合わせる」ことを検討してください。
A社のオンライン英会話、B社の英語学習アプリ、一人あたり上限〇万円までの英語学習費用補助など、社員が自分に合ったものを選べるよう、選択肢を複数設けます。
同時に、各自、英語学習計画を提出してもらう、年に一度の社内英検受験を必須とする、昇給・昇進・海外赴任等にスコア要件を設けるなど、目標が設定しやすく、学習の意欲や継続につながる工夫を行うと効果的です。
3つめは<研修効果>についてです。
「うちの業界は特殊なので、研修で一般的な英語を学んでも、ほとんど実務に応用できない」、「できるだけ早く、業務で使える英語を身につけさせたいのだが......」など、研修効果に関する担当者のお悩みは少なくありません。
実際の仕事に役立つ英語力を、短期間で獲得するためには、「自社にカスタマイズした研修」がベストです。
「この職場では今、こういう場面で必要な英語力が足りなくて困っている」、「今後の業務展開のために、こんなスキルを身につけたい」など、具体的な現場のニーズを元に、研修の専門家に自社専用のカリキュラムを組んでもらいます。研修の内容と実務をしっかりリンクさせ、自社に特化した英語の運用力を向上させるので、研修の成果をすぐ各部署の業務に役立てることができます。
以上、3つのポイントをご紹介しました。まずは自社の課題を明確化し、誰もが続けやすく、より効果的な研修の導入を目指しましう。
資料「グローバル人材育成の成功事例4選」をダウンロードここまで、ビジネスの現場で見られる2方向のグローバル化と、それに伴って社員全体の英語力強化が求められている現状をお伝えしました。また、英語力を底上げするための研修導入に際して押さえておくべきポイントをご紹介しました。
まずは自社の課題を明確化し、誰もが続けやすく、より効果が期待できる研修を目指しましょう!
しかし、この記事で取り上げた3つの課題を一つずつ解決するのは大変ですよね。
アルクエデュケーションが提供している「ALC Study Unlimited」なら、これらの課題を全て解決することが可能になります。 当サービスは、TOEIC模試とスピーキングテストの2軸でのアセスメントや6つの学習ツールを利用して、一人一人に合った目標設定の下に学習を進めていただけます。モチベーションアップにつながるオンラインセミナーもご用意しており、効果的な自己学習をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
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