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外国籍社員の日本語力をどう知るか-日本語テストの特徴と選び方-

外国籍社員の日本語力をどう知るか
-日本語テストの特徴と選び方-

こんにちは。グローバル人材育成の「アルク」のライティングチームです。
近年、外国人を社員として積極的に採用する企業が増えてきました。採用にあたって採用担当者が書類や面接などで日本語力をチェックしているところが多いのですが、実際に入社した後で「日本語の会話が思っていたよりできない」「業務の会話がイマイチ通じない」という企業からのお困りの声を聞きます。今回は外国籍社員の日本語力を測るための日本語テストをご紹介します。

資料「外国籍社員の育成に必要なこと」をダウンロードする

1.外国人雇用の増加と採用条件となる日本語のレベル指標

外国籍社員の増加と日本語テスト

厚生労働省が発表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」によれば、2021年10月末現在、外国人労働者を雇用している事業所数は28万カ所超、外国人労働者数は172万人にのぼり、事業所数・外国人労働者数ともに過去最高を記録しました。外国人労働者はこの10年で約3倍に急増しています。

事業所規模では、30人未満の事業所で就労する外国人が最も多く、全体の61.1%を占めています。外国人労働者数は事業者規模の大小に関わらず増加しており、大企業はもちろん中小企業においても外国人の採用が増えていることが分かります。

外国人の採用にあたっては日本語力をチェックしている企業が多数ありますが、その際に最も多く使われる指標が日本語能力試験(JLPT)です。

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日本語能力試験(JLPT)で測れること

日本語能力試験(JLPT)は、海外では国際交流基金、国内では日本国際教育支援協会が主催する日本語の試験です。国内外で行われる最も規模の大きい日本語の試験で、年に2回行われています。2021年は68万人以上が受験しました。

日本語能力試験(JLPT)はN1~N5の5つのレベルに分かれています。最も難しいレベルがN1です。試験はすべてマークシート形式で行います。各レベルの認定の目安は以下の通りです。

N1 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。
N2 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
N4 基本的な日本語を理解することができる。
N5 基本的な日本語をある程度理解することができる。
(日本語能力試験公式ウェブサイトより)

日本語能力試験(JLPT)は一般的な日本語力、特に「何を」「どのような場面で」「どのように使うか」ということについての知識や理解度を客観的に測るのに向いている試験です。しかしながら、日本語能力試験(JLPT)では実際の場面で「どのぐらい日本語が流暢に話せるのか」を測ることはできません。これは多肢選択式(マークシート形式)の試験の限界です。実際のコミュニケーション場面では選択肢はなく、自分で一から文を作って話さなければなりません。実際の日本語の会話力は、実際に話してもらったことを評価する方法、つまり口頭試験(スピーキングテスト)を行うことでしか測ることができないのです。

JSST(日本語会話力テストJapanese Standard Speaking Test)を実施しているアルクでは、日本語能力試験(JLPT)の受験者が「実際にどのぐらい日本語が話せるのか」を調査するために、日本語能力試験(JLPT)の結果と、JSST(日本語会話力テスト)の結果の比較を行いました。

それによると、日本語能力試験(JLPT)の結果とJSST(日本語会話力テスト)の結果は必ずしも一致していないことが明らかとなり、日本語能力試験(JLPT)のN1に合格していても、日本語を話す能力が十分ではない人もいることが分かりました。

■PR TIMES 2014年12月2日付プレスリリース 「日本語能力試験と会話力の相関にばらつき―日本語能力試験と日本語会話テスト「JSST」の相関に関する分析レポート」より

これは、高いTOEICスコアを持っている日本人の英語学習者が、必ずしも英語が流暢に話せるとは限らないことと似ています。

仕事で必要な日本語会話力を測るには

日本語能力試験(JLPT)は国内外で広く実施されているテストであるため、外国人社員の日本語能力の確認にも使われることが多いのですが、日本語能力試験(JLPT)は一般的な日本語の知識や理解度を測るテストであり、「仕事で必要な日本語を話す力」は測っていません。

そこで、ビジネス用語や、ビジネス場面で使われるコミュニケーションなどを出題するビジネス日本語のテストが実施されていますが、これらのテストの多くは多肢選択式(マークシート形式)のテストのため、知識や理解度を中心に測ることになります。

業務で使用する実際の日本語の会話力は、実際に話してもらったことを評価する方法、つまりスピーキングテストを行うことでしか測ることができません。しかしながら、日本語のスピーキングテストというのはあまりありません。それはなぜなのでしょうか。

スピーキングテストを行う際に難しいのは、評価基準の設定と評価方法です。正解/不正解があり機械的に採点処理ができるマークシート形式の問題と異なり、スピーキングテストでは受験者の百人百様の会話を聞いて、一定の基準のもとに評価をしなければなりません。またその評価、同じ受験者であれば同じ評価が出るような信頼性が求められます。このクオリティを維持することが、実は大変困難なことなのです。
実際の外国人の採用にあたっては、会社によっては日本人社員が面接して、「何となく中級」「〇〇さんは××さんよりできそう」といった個人的な「感覚」で評価を行っていることも実は少なくありません。

入社希望者の中には、「面接のための日本語」だけを徹底的にトレーニングしてくる人もいますし(日本語力は低いが面接では流暢に話す)、たまたま面接官とウマが合って話が弾むこともあります(その逆もあり)。日本人の面接官も自己流で評価していることが多いので信頼性はあまりありません。面接官のその日の気分や体調が影響することすらあるかもしれません。

このような個人的な「感覚」による評価を行った結果、入社後に「思ったより日本語が話せない」、「業務上の会話がイマイチ通じない」という問題が発生し、任せたいと思っていた業務をなかなか任せられないという悩みにつながることがあります。
そこで、客観的に仕事で必要な日本語会話力を測り、信頼がおけるスピーキングテストを活用することが重要になってくるのです。

2.日本語テストの種類と選択のポイント

JSST(日本語会話力テスト)

https://www.alc-education.co.jp/business/jsst/

JSSTの資料をダウンロードする

アルクのJSST(日本語会話力テスト)は、電話で受験できる日本語会話力測定テストです。「いつでも、どこでも、気軽に、かつ正確に日本語の会話力を測りたい」という企業の要望に応える形で、2008年に開発されました。テストの所要時間は約15分で、問題はあらかじめ録音された音声データの中から10問出題されます。受験者は各問題45秒または60秒以内に、自由発話の形式で回答します。回答音声は、「発話の形」「正確さ」「待遇表現」「内容」「総合タスク」5つの基準から総合的に評価され、日本語会話力が判定されます。

JSSTのレベルは初級から上級までの10段階で、それぞれの「レベルイメージ」は、以下の通りです。

JSST(日本語会話力テスト)は以下の特長があり、多くの企業で外国人社員の採用や人事考課・人員配置のために活用されています。

  • 実際のビジネス場面で使える日本語会話力を測定できる。
  • 専門の日本語評価官が1人の受験者につき3名で客観的に厳正に評価しており、テストの信頼性が担保されている。
  • スコアだけでなく評価コメント(学習アドバイス)も付けることができるので、その後の日本語学習に役立てることができる。
  • どのスコアであれば、どのような業務を日本語で行えるのかの指標があるので、目標を立てやすい。

一方、JSST(日本語会話力テスト)では、文字語彙の知識や文章を読んで理解する力については測れないため、会話力だけではなく総合的な日本語能力を知りたい場合には、日本語能力試験(JLPT)のような日本語の理解力を測るテストと一緒に組み合わせて確認することをお勧めしています。

いろいろな日本語テスト

先述の日本語能力試験(JLPT)やアルクのJSST(日本語会話力テスト)以外にも多くの日本語テストが行われており、外国籍社員の採用、人員配置、社員研修、評価など、さまざまな目的に使われます。

現在、行われている日本語テストの一例を紹介します。受験料は日本国内の受験料です。

テスト名称と実地団体 テスト科目とテスト形式 実施回数 受験場所 受験料
(国内)
■日本語能力試験(JLPT)
国際交流基金(海外)
日本国際教育支援協会(国内)
・言語知識(文字・語彙・文法)、読解、聴解
・マークシート
年2回 会場受験
国内は47都道府県
海外は96の国と地域
7,500円
■BJTビジネス日本語テスト
日本漢字能力検定協会
・聴解、聴読解、読解
・コンピュータ
随時
※3か月開けて受験する必要がある
会場受験
国内は34都市
海外は18の国と地域
7,000円
■J.TEST実用日本語検定
日本語検定協会
・読解、聴解
・マークシート、記述式
(A-C/D-Eレベル)
年6回
(A-C/D-Eレベル)
会場受験
国内は公開会場または準会場
海外は13の国と地域
5,200円
■日本語NAT-TEST
専門教育出版
・1、2級:言語知識(文字・語彙・文法)・読解、聴解
※級(レベル)によって異なる
・マークシート
年6回
(2-5級)
会場受験
国内は東京、大阪
海外は15か国
5,500円
■J-cert生活・職能日本語検定
国際人財開発機構
・ベーシックコース:社会・文化(読解)、聴解、文字・語彙・文法
※コースによって異なる
・マークシート
年5回
(ベーシックコース)
会場受験
国内は東京
海外は8か国
4,000円
5,000円
15,000円
※コースによって異なる
■JSST日本語会話力テスト
アルクエデュケーション
・スピーキング
・電話
・音声を聞き、回答を録音
随時 電話回線がつながる地域なら国内外どこからでも受験可能 7,150円
(コメントシートなし)
8,250円
(コメントシート付)
■ONiT(Oral Nihongo Test)
アイシーアイ
・スピーキング
・コンピュータ
・音声や画像で問題が提示され、回答を録音
申し込み後調整 会場受験
国内は東京
契約を交わしたうえで条件をクリアすればオンライン受験可能
16,500円

※2023年8月25日時点の情報です。詳しくは各団体ホームページよりご確認ください。

日本語テストの選び方

日本語力を測るテストは様々なものがあり、どう選んでいいか迷うことも多いと思います。まずは企業の担当者が外国籍社員の日本語力について、何を知りたいのかを明確にしましょう。その上で、試験実施団体のホームページを見て、知りたい能力が測れるテストなのかを確認しましょう。また、実施の実績や受験者数、テストの調査データなど公開されていると、信頼できるテストの指標として参考になるでしょう。

合わせて試験回数や受験料、申し込みから結果公開までの期間などの利便性についても検討が必要です。さらに、テストを受験した外国籍社員の今後の活躍のために、学習のアドバイスなどがもらえると、テストの活用もしやすくなるでしょう。それぞれの現場に最適な試験を選びましょう。

アルクエデュケーションではJSST(日本語会話力テスト)以外にも、日本語研修異文化理解研修など、さまざまな日本語教育サービスを効果的に組み合わせたプログラムをご提供しています。外国籍社員の採用を考えている企業様は、お気軽にご相談ください。

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