こんにちは。グローバル人材育成の「アルク」のライティングチームです。
日本企業の海外展開が進むなか、海外赴任者や特定のグローバル担当者だけでなく、国内で勤務する社員にも、グローバルな視野や対応力を持つことが求められています。日本国内にいながら外国人社員と一緒に働く機会が増えている現実もあり、いまや「異文化理解」はさまざまな社員にとって必要な力となっています。
この記事では、ビジネスの現場における異文化理解の必要性についてもお伝えしていきます。
~目次~
異文化理解とは、自分とは異なる文化や価値観を持つ人々や社会を理解し、尊重することです。
マナーや考え方などの違いを受け入れることで、異なる文化の人々と友好的に交流し、協力することができるようになります。ビジネスの現場においては、これにより協働のシナジー効果を各段にアップさせることができます。
冒頭でも述べましたが、異文化理解は、もはや海外駐在員や海外でグローバルに活躍したい社員だけに必要な力ではありません。その醸成の方法は一律ではなく、たとえば以下のように立場を分類した場合、それぞれの立場に適した方法で異文化理解を深めていく必要があります。
近年、企業の海外進出が進むと同時に、日本国内における外国人労働者の増加も顕著です。
厚生労働省の令和5年10月末時点の資料では、外国人労働者数は2,048,675 人で、前年比 225,950 人増加しました。対前年増加率は 12.4 %と前年の 5.5 %から 6.9 %上昇しています。
このように、異なる文化の人々との協働の機会は確実に増えていますが、そのシナジー効果を弱めてしまうのが文化の違いによるすれ違いです。
以下の例を見てみましょう。
多くの欧米企業と日本企業では、会議の目的やスタイルが違います。このケースでは、お互いの文化についての知識や理解がないために、すれ違いが起こっています。
【部長の山田さんと外国人社員Aさんのすれ違い】
部長
山田さん
【外国人社員Aさんへの悩み】
【外国人社員Aさんの言い分】
外国人社員
Aさん
【日本と欧米における会議の目的とスタイルの違い】
日本 | 欧米 | |
---|---|---|
目的 | 情報共有、報告、 アナウンスメント |
意思決定、意見交換、交渉、ディスカッション、反論 |
スタイル | 傾聴の姿勢、順番を守って発言 | 意見があればすぐに主張、発言しなければ出席していないも同然 |
こうした問題は、地理的に近い東アジア・東南アジア出身の社員との間にも起こります。会議以外にも、仕事の進め方(途中報告の有無)や作業の完成度の認識、相づち・あいまい表現の使用など、随所に問題が潜んでいます。流ちょうな日本語が話せても、こうした文化・商習慣の違いを認識・理解していないことで生まれるミスコミュニケーションが、外国人社員の高い離職率につながっている場合があります。
異文化理解により、このようなすれ違いを避けることができるのです。
資料:『今、必要とされるグローバル人材の要件 -異文化研修を成功させるポイント- 』をダウンロード異文化理解は、グローバルビジネスにおいて多くの効果があります。
異文化を理解することで、異なる文化の顧客やビジネスパートナーとよりスムーズにコミュニケーションが取れるようになります。
異文化への理解は、相手に対する敬意を示すことでもあります。これにより、ビジネスパートナーや同僚との信頼関係を築きやすくなります。信頼関係があれば、協力してよりスムーズに仕事を進めることができるようになります。
文化の違いによる誤解や衝突を減らし、ビジネス上のトラブルを避けることができます。
異なる市場のニーズや文化に適応し、効果的なマーケティングやサービスの提供が可能になります。
異文化の知識を持つことで、新しい視点やアイデアを得ることができます。異なる文化の考え方や習慣に触れると、自分の考えを広げることができ、創造的な解決策を見つけやすくなります。
以下に、異文化理解を成功させる主なポイントをまとめました。
異文化理解の第一歩は、3つの基盤( 「文化の構造」「価値観」「コミュニケーションスタイル」 )を理解することです。最初にこの3つの基盤を学ぶことで、汎用性のある異文化コミュニケーション力が身に付きます。これらの異文化コミュニケーションの基盤については受け入れる側の国の社員も学ぶ必要があります。
次に「現地のビジネス文化/マナー」を学びますが、現地国の組織が大切にしている「価値観」と「ビジネス文化/マナー」の間のつながりが理解できると、表面的な理解に終わらず、肚落ちしやすくなり実践につながりやすくなります。また併せて、それらのビジネス文化やマナーを実践することのメリットもしっかり理解することが重要です。
外国人材ならではの強みについて考えることも重要なポイントです。単に現地人と同じように振る舞うのではなく、現地の文化を理解し尊重しながらも、外国人材としての強みを発揮することが目標です。
実際、グローバル化が進むほど、「日本人であること」は、世界の多様性のひとつ、オリジナリティーのひとつとして尊重され、日本人として国際社会に貢献することが期待されます。日本について聞かれる場面も多いので、日頃から自国のことをしっかり学んでおきたいところです。同時に自分も関心と敬意をもって他国の文化に接することで、相互理解が深まっていきます。
このような段階を踏まえて異文化理解を進めていくことで、行動変容につながりやすくなります。
以下に、異文化理解を醸成する上で気を付けるべき点をまとめました。
国ごとのコミュニケーションスタイルや仕事の進め方の違いについて学ぶことはある意味有益ですが、場合によってはステレオタイプを醸成してしまうリスクがあります。国を特定せずに汎用性のあるグローバルマインドセットについて学ぶことにより、そのようなリスクを軽減することができます。
現状海外との接点がない社員も異文化コミュニケーションの重要性を「自分事」として捉えるためには、「日本人同士の中にも異文化は存在する」という広義の異文化コミュニケーションの文脈で考えることが重要です。
異文化理解は、知識をインプットする要素もありますが、より重要なことは「強い気づき」を得て、その結果望ましい方向に思考や行動を変容させることです。そのためには講義型の研修などを受講するのではなく「強い気づき」を生み出しやすい参加体験型のアクティブラーニングが有効です。それにより受講生は「知識の受容」だけに終わることなく、グローバル環境下で「文化/価値観の違い」を「強み」に変えることのできる「知恵の創造」が可能になります。
よく聞かれるのは、外国人社員だけに異文化理解を促してしまうケースです。受入国側の社員に「同化」させるための押しつけだと解釈されてしまう場合もあり、注意が必要です。お互いの文化が持つ強みを状況に応じて使い分け、補完し合いながら、より強い組織を作っていくためには、受け入れ国側の社員にも同様に異文化理解を促し、お互いに学び合うことが重要です。
資料:『外国人社員の育成に必要なポイント~日本語教育と異文化コミュニケーション』をダウンロードこの記事では、異文化理解は、海外赴任者やグローバル要員に限らず、国内業務に従事する日本人社員、外国人社員の全てに必要な力であることをお伝えしてきました。グローバルビジネスにおいて協働のシナジー効果を格段にアップさせる鍵は、この異文化理解力と、積極的なコミュニケーション力及び語学力であると言えるでしょう。
アルクエデュケーションでは、外国人社員向けの日本語研修、日本ビジネス異文化研修、そして日本人社員向けの英語研修、異文化理解研修など、グローバル人材を育成する研修を多数ご用意しております。まずはお気軽にご相談ください。
あなたにオススメの関連記事
外国人社員への異文化理解・日本語研修
-企業の悩みと研修を成功させるポイント-
ダイバーシティを加速させる、外国人社員の戦略的育成法!