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業務に直結する英語力、ビジネススキル、ダイバーシティを育成
商船三井の新入社員研修

株式会社商船三井様

世界の海運をリードする商船三井は、新卒社員もグローバルに活躍するための英語力とビジネススキルが必須です。世界各国のクライアントと渡り合う力を育成する研修について、人事部の権田昌史さんと江川夏子さんに聞きました。

世界の海が仕事の舞台。海運会社の英語事情

――海運というお仕事柄、英語を使う場面は多いと思います。採用に際して、英語の条件はありますか?

権田 当社の新入社員は入社直後から、日常的に英語を使って仕事をします。海外のクライアントとのやりとりはもちろん英語ですし、世界中の海を航行する800隻の当社運航船との交信も全て英語です。船のキャプテンは当社社員以外ほぼ全員が外国人で、乗組員にも日本人は非常に少ないですからね。

私自身も入社時は驚いたのですが、営業担当が外国のクライアントと運送契約を結ぶときに、共通言語が英語の場合は通訳がつきません。最初は緊張で震えますよ。

このように英語必須のビジネスではありますが、採用の段階では英語の面接もTOEICスコアの条件も一切ありません。英語は入社してから身に付けてもらいます。入社早々、仕事で英語を使いながら懸命に学び、やがて一人前になっていくのです。会社は50前後もある語学系通信講座の受講支援や、年次にとらわれない幅広い研修を用意して、社員の学びをサポートしています。

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全新入社員が参加するアルクの集合研修

――アルクの英語研修は新入社員向けですね。どのような内容ですか?

江川 年間で6、7回、新入社員が研修所に集まって行う集合研修です。TOEIC500点前後からネイティブ並みのレベルまで、英語力に応じて3つのレベルを設けています。新卒入社は毎年25人前後なので、各レベル2~3クラスに分かれ、5~6名の少人数制で研修しています。

初級・中級の内容は、「Creative Speaking」「Writing」「Active Business Communication(ABC)」と、英語研修が中心です。初級では英語特有のリズムに慣れるため、「Rhythm & Beat」から始めます。一方、上級クラスの研修内容は「Logical Speaking」「Writing」「Effective Presentations」「Effective Meetings」など、ビジネススキルが主体です。

17年前の新入社員も、同じ研修の経験者

――江川さんは本年度入社で、まさに今、この新人研修を受けていますね。

江川 はい、中級レベルです。社員5人に先生が1人付いてくれますので、質問しやすく、授業の雰囲気もとても良く、内容が濃い研修です。先日1泊2日で行った「Writing」は、受講者の間で特に好評でした。船長やクライアントと毎日英語のメールをやりとりしている同期は、研修で先生にメールを添削していただいたことや、ビジネスメールにふさわしい英文の書き方を教えていただいたことが、とても役に立ったと言っています。メールには定型文があるので、一度覚えてしまえば翌日から仕事に使えるからです。実務に直結した研修というのは、こんなふうに歓迎されるのだとよく分かりました。

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――今から17年前、権田さんも同じ新人研修を受けられたのですよね。

権田 そうです。私は同期で唯一、本社ではなく名古屋支店に配属されたので、東京の研修施設で集合研修があると、上京して同期と会えるのがまず楽しみでした。研修の内容は、当時からあまり大きく変わっていないと思います。プレゼンテーションの授業で学んだことは、今もよく覚えていますよ。ビジネスで使える英単語を先生からたくさん教えてもらいましたし、1スライドに1メッセージとか、相手によく伝わる情報の見せ方とか、あのとき教わったスキルは、その後の仕事でとても役に立っています。

私の時代は集合研修の他に、毎週1回、アルクからネイティブの先生がオフィスに来て、スピーキングのモーニングレッスンがありました。名古屋支店にはアルクの名古屋支社から、私のためだけに先生が来てくれるので、うかうか遅刻もできません(笑)。でもみっちり鍛えられたおかげで、TOEICのスコアが1年で200点くらい上がり、最後にMVPをもらったのはいい思い出です。

研修と日々の実務の連携がパワーになる

――研修を受けた新入社員の皆さんには、どんな変化がありますか?

権田 英語に対して度胸が付くのが一番大きいです。全く英語が話せなかった新入社員が、いつの間にか当たり前のように外国人のクライアントと話しているのを見ると、度胸は大事だと思います。

江川 担当する船と毎日連絡を取り合っているある同期は、研修では初級レベルです。ところが入社わずか数カ月なのに、みるみる英語力が伸びました。仕事で英語を使っていて、研修内容と実務がリンクしている人は、こんなふうに伸びが早いのですね。みんなとても刺激を受けました。こういうことはよくあるようで、研修が半分終わったところで、再度TOEICとTSST※を受験し改めてレベル分けをすると、初級と中級の顔ぶれが、毎年見事にシャッフルされると聞いていますが、今年もそうなりそうです。

※アルクが開発した、電話による英語のスピーキングテスト

権田 研修では異文化理解に関しても、先生がけっこう話をしてくれるのですが、外国の人たちと仕事をする上では、これが英語以上に重要かもしれません。新入社員は多文化について、研修を通して疑似体験をし、日々の業務でリアルに感じるという行き来を繰り返します。そうするなかで、できるだけ短期間で、より広い世界観を身に付けてほしいと思います。

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多様性を理解し、堂々と業務遂行する若手を育てる

――この研修はすでに20年ほど続いていますね。継続理由は何だと思いますか。

権田 船会社で必要とされる英語やコミュニケーションを、アルクさんによく理解してもらっているからではないかと思います。講師の熱心さには定評がありますし、「こういうことを教えてほしい」と相談すると、「ではこうしてみましょうか」と前向きな提案が返ってきます。長年そうやって話し合いながら、少しずつ研修内容を改善してきた積み重ねの成果かもしれません。

――御社の人材研修について、今後の抱負を聞かせてください。

権田 当社の一番の特徴は、関わる国籍がとても多いことです。コミュニケーションや異文化理解といっても、1年間一緒に仕事をしてきたインド人キャプテンが、あるときモンテネグロ人キャプテンに変わると、途端に今までのやりとりの常識が覆されてしまう。そういうことが日常茶飯事なのです。いちいち、「なぜ今度の人は、こんなことを言ってくるんだろう?」などと立ち止まってしまうと、スピード感のある仕事についていけません。

時には経験豊富なキャプテンに、お客さまのご要望を聞いて無理なお願いをすることもあります。22、23歳の新入社員でも、年齢や経験がはるかに上の人に堂々と指示を出し、船を動かさなければなりません。一人一人文化が異なる相手に、不快感を与えずにそれをやるのは、とても難しいことです。だからこそ、多様性を理解し、相手に通じる「ことば」で話して業務を遂行できる人を増やしていく必要があるのです。それが私たちの人材育成の方向です。


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株式会社商船三井
人事部 採用チーム チームリーダー
権田昌史さん

2002年入社。入社後、名古屋支店に配属され、3年半にわたりコンテナ船の営業を担当。その後、本社人事部を経て、油送船部で石油製品を運ぶ船の担当に。シンガポールに赴任し、アジアでの営業も約5年間経験した。

人事部 採用チーム
江川夏子さん

2019年入社。人事部で内定者のフォローを担当している。大学の専攻は生物系。大学院に進んだ後、エネルギーを運ぶ仕事に魅力を感じて商船三井に入社。大学時代にアメリカへ短期語学留学をした経験から、英語を使った仕事がしたいと思ったのも志望動機。