東京エレクトロン株式会社
A.P.さん
半導体製造装置を主力とするメーカー、東京エレクトロン。世界にシェアを広げるグローバル企業として、第一線の社員に、各自の実務に即した英語研修を提供しています。オーストラリア出身で英語教員経験をもつ担当者が語る、研修へのこだわりとは何でしょうか。
対象者 |
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研修内容 |
<英語研修>
<異文化理解><通信講座>
<eラーニング>
<アセスメント> |
A.P.さん当社では、グローバルコミュニケーション・プログラムとして、4つのカテゴリーを設けています。その中心となるのが、英語を使って第一線で仕事をするための、Frontline English。これに加え、自学・自己成長を促すself-growth支援、異文化理解関連のcross-cultural understandingといったプログラムを用意しています。4つめとして、英語以外の言語プログラムもありますが、全体としては英語が主です。
A.P.さん概ね3~4カ月のプログラムとして年間を通して実施しており、受講者数は年100人前後です。基本的には週2日のペースで受講してもらいますが、あくまでも業務優先ですので、期間は比較的フレキシブルです。
受講者は各部署のゼネラルマネージャーに毎回選出してもらっています。一般的な英会話やビジネス英語研修ではなく、個別に研修内容をカスタマイズしていますから、受講者に関してもセレクティブなのです。英語力に関しては、初中級から上級までとさまざまです。
A.P.さんはい。徹底的にカスタマイズしています。事前に私の方で受講者にアンケートやインタビューを行なって、その人のニーズや、目指すゴールを確認し、分析します。そのうえで、各受講者に適した内容を設定し、受講者の上司の承認を得て研修開始です。こうすることで、各自の仕事の現場で使える、実践英語を身に付けてもらうのです。
固定のテキストは使いません。研修目的も人それぞれです。受講者が100人いれば、100の異なる内容に取り組んでいるわけです。
A.P.さん研修なのにテキストもなく、決まった内容に沿って学習を進めるわけでもないことに、最初は驚く人もいたと思います。でも自分が学びたいなら、何をやってもいいのだと知って、自らプログラムを組んでくる人も何人かいました。「このことについて、お客さんと英語で話さなくてはいけないから」と、仕事上の課題を軸に、私や講師と相談し、ニーズに特化した研修内容を作ってしまうのです。こういうことさえできるのが、この研修の大きな特徴です。
A.P.さん一例ですが、自分が実際に業務で行なった英語のプレゼンテーションを、研修の際に再現して講師に見てもらい、より適切な表現やプレゼン技術を学んだりします。また「Q&A」として、受講者の業務や専門分野について、講師から質問を投げかけ、受講者に英語で答えてもらいます。受講者にしてみれば、その分野の専門知識を持たない人から、しかも英語で、自分の仕事に関する素朴な疑問を突き付けられるわけです。想定外の質問に戦々恐々とさせられることもあるとかで、突飛な質問であればあるほど、本人の勉強になっているようです(笑)。
ほかに、言いたいことを正確に、英語らしい表現で伝えるための、リフレーズ(言い換え)の練習も盛んです。海外駐在員であれば、日常的に英語を話す環境に適応できるよう、英語のイディオムをたくさん学びますし、国内で仕事をするエンジニアなら、自分が専門とする技術関連の話について、英語の表現を学習します。
A.P.さん日本語で聞いてもわからない専門用語が、たくさん出てきますからね。果たして英語研修として成り立つのだろうかと、最初は不安もありましたが、思っていた以上にうまくいきました。アルクさんから派遣される講師には、受講者の技術分野に比較的明るい方も、そうでない方もいますが、どの先生も多様な企業での指導経験が豊富なので、じょうずに対応していただいています。また、受講者の仕事上の課題が変化することで、受講者が望む研修内容も変わってきますが、講師は随時それに応え、研修内容を調整してくれています。
A.P.さん仕事での英語使用に慣れることが、研修の一番の成果です。日常的に英語を話す機会が少ないエンジニアなどは、たまたま学会で英語の発表をするといった場面で困惑しがちですが、研修を経て、英語を話すことがあまり怖くなくなるようです。3カ月程度の研修期間で、目に見える成果が出るわけではありません。それでも時間が経つにつれ、英語のミーティングで発言が増えるなど、よい結果が出ていると思います。
実はアメリカに駐在する社員にも、オンラインで英語研修を行なっています。彼らの職場には、もちろん英語ネイティブの上司・同僚が大勢いますが、職場で「英語それ自体」について話す機会はありません。だからこそ、英語の講師と繋がっていることに意味があります。研修で学ぶだけでなく、それをすぐ現場で応用できるのが彼らの強みです。
アルクの常駐講師契約
アルクのプライベートレッスン
A.P.さん当社の状況にフィットしたプログラムを独自に作り、毎年約2,500人の社員に提供しています。海外売上が8割以上を占める当社では、ビジネス言語は英語です。日常的にではなくても、折に触れて海外とやり取りする機会は、多くの社員にあります。海外のお客さまとのオンラインミーティングにも、簡単に参加できる時代ですから、誰であろうと英語を使いこなすしかありません。この独自プログラムもアルクさんの協力を得ており、その膨大な教材を利用して、社員が主体的に学ぶ好機ともなっています。
A.P.さん一般的な企業の英語研修では、業務終了後や始業前の時間を利用して希望者を募り、汎用性の高い内容で1時間程度のグループレッスンを行ないます。しかし長い英語教師経験からいって、漫然と汎用性を追求するレッスンは、効果的ではありません。
私が当社で取り組んできたのは、当社に、この業界に、この事業に、その受講者の業務にフォーカスした英語研修を、グローバルコミュニケーション・プログラムを通して、提供することでした。そうすることで、一人一人の受講者が、現実の業務に酷似した内容を、研修の場でリハーサルし、シミュレーションすることができます。いくらミスをしてもかまわない環境で、実践を想定した訓練を重ねておくことが、第一線で仕事をする社員の英語力強化には、ひじょうに有効なのです。
この目的を達成するために、アルクエデュケーションとの協働は大いに役立ちました。希望通りのレッスンを提供してくれる講師を迎えることができましたし、彼らは研修内容の設計においても、私に力を貸してくれています。アルク社自体が、英語教育に長い歴史と豊富な経験をもっていますから、教材や資料も充実しており、こうしたすべてがベネフィットとなっています。
A.P.さん英語教育をケーキ作りにたとえてみましょう。汎用的な英語教育は、基本のケーキの作り方を教えるようなものです。中学や高校の英語ならよいでしょうが、企業研修というキッチンで、これをやっては意味がありません。社会人の学習者は、ショートケーキだったり、ティラミスだったり、それぞれ特定の「このケーキ」の作り方が知りたいのですから、個々のニーズにフォーカスした研修が必須です。
一方、日本の英語学習者に一番必要なものは「自信」です。車の構造を覚えるより、どんどん路上に出て、運転そのものに慣れることが重要です。英語も同じで、文法や発音にこだわる前に、英語を使うことに、もっと慣れてほしい。そう願いながら研修を担当しています。
アルクの常駐講師契約
目的からソリューションを探す
半導体製造装置、および、フラットパネルディスプレイ (FPD) 製造装置のメーカー。当該分野における日本のリーディングカンパニーであり、売上の8割超が海外というグローバルな企業でもある。設立は1963年。国内外に27社、77拠点を展開する。世界の共有価値実現に向け、"デジタル×グリーン" の両立を目指す。
オーストラリア・メルボルン出身。日本在住19年。大学卒業後、英語学校に就職して来日し、16年にわたり英語教師として活動した。多国籍企業、政府や省庁関係、大学などで教えたのち、2019年に東京エレクトロンに入社。グローバルコミュニケーション・プログラムの牽引役として人材教育に携わる。同社のオリジナル英語学習プログラムの開発や、ダイバーシティ・アンド・インクルージョン(D&I)でも活躍中。
グローバルコミュニケーション教育は、主にオリジナルコンテンツを作っているA.P.さん、フロントラインの人たちのケアにあたるN.Y.さん(写真左)、そして自己学習支援プログラムを担当するH.M.さん(中央)の三人で取り組んでいます。それぞれが専門分野をもち、チームとしてグローバルコミュニケーション全体を牽引しています。