こんにちは。グローバル人材育成の「アルク」のライティングチームです。
SNSやビデオ会議が定着し、海外とのビジネスでは、日本にいながら日常的に、英語でやりとりする機会も増えています。そんななか、英語の瞬発力不足を痛感するビジネスパーソンも多いのでは? そこで今回は、英語のアウトプット力不足の原因と、強化法をご紹介します。
~目次~
1.英語のアウトプット力、足りていますか?
あなたの英語力、偏っていませんか? たとえば......。
「英語のメールはちゃんと読める。でも自分で書こうとすると、伝えたいことがうまく表現できない」
「英文メールを書くのに、すごく時間がかかって辛い」
「TOEICのスコアは悪くない。それなのに、なぜ英語が話せないんだろう?」
「自慢じゃないが語い力はある。でも覚えた言葉が実践で出てこない」
こうした'症状'は、「英語力」不足が原因ではありません。足りていないのは、「英語のアウトプット力」なのです。
英語に限らずスキル習得には、知識のインプットと、実践というアウトプットが、どちらも不可欠です。
たとえばピアノが弾けるようになるためには、ひとつひとつの鍵と音の関係を理解し、鍵盤の並びや、指の配置を覚えなくてはなりません。楽譜も読めるようになる必要があります。これらはピアノを弾くための、知識のインプットです。
必要な知識は頭に入りました。しかし実際に自分で弾いてみなければ、ピアノは弾けるようになりません。そこで毎日ピアノに向かって、練習をするのです。この実践がアウトプットです。
新しい技能を身につけるには、インプット(知識の獲得)とアウトプット(実践練習の積み重ね)の両方が必要です。英語に当てはめると、文法、語い、発音に関する知識を獲得し、得た知識を用いて特定のスキルを練習することになります。インプットとアウトプットが、バランスよく力を発揮した結果、鍵盤の上の指は自然と正しく動くようになり、同様に自然と英語が口から出てくるようになるのです。
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英語のリーディングの場合、文法の知識や語いが十分あれば、英文の意味はわりと容易に理解できます。リスニングでは、文法や語いに加え、発音になじむことで、聞き取る力がついてきます。
一方、ライティングやスピーキングは、自分で伝えたいことを決め、より能動的に英語を運用するスキルです。私たちが日本語を話せるようになった過程と同じように、知識だけでなく、実際にアウトプットを繰り返し、たっぷり'場数を踏む'ことで、はじめて使いこなせるようになるのです。
インプットばかりでアウトプットの経験が極端に少ない英語学習者は、前輪がとても大きく、後輪がとても小さい、昔の自転車に乗っているようなもの。あきらかにアンバランスで、自由自在にサイクリングを楽しむというわけにはいきません。英語についても、インプットとアウトプットのバランスが、大事だということをお忘れなく。
ここまでは、知識と実践という意味で、インプットとアウトプットの関係をお話してきましたが、英語の4技能自体も、それぞれのスキルの特質から、インプットとアウトプットに分けることができます。
読む・聞くは、「受け取る英語」で、インプットのスキルです。
話す・書くは、「発信する英語」で、アウトプットのスキルです。
英語のアウトプットでは、次の2点に留意しましょう。
母国語で話しているとき、私たちの脳は瞬時に何を話すかを決め、ほぼ同時にどう伝えるかも決めています。ですから母国語の会話はスムーズです。
外国語の場合は、言語に関する知識量が限定的であるため、脳内での処理がしばしば滞ります。「ええと、語順はこれでよかったっけ?」、「あの単語は何だっけ」と、いちいち考えては言葉につまる。あなたにもそんな経験はありませんか?
では、母国語と同等の知識がないと、外国語で発信することはできないのでしょうか? そんなことはありません。文法が多少あやふやでも、そのものズバリを表わす単語が出てこなくても、あなたが書いたり、話したりする英語は、おおむね相手に伝わります。
それでも英語のアウトプットが苦手な学習者は、もっと知識量を増やそうと考えがちです。どんなに知識量を増やしても、残念ながらそれだけでは、英語は話せるようになりません。アウトプットの力を伸ばすのは、トレーニングの繰り返しであり、実践の積み重ねだからです。
言葉による表現では、何をどう伝えるかは毎回違いますし、人によっても言い回しなどがまちまちです。つまり英語のアウトプットには、「唯一の正解」は存在しないのです。知識を問うテストとは、その点が決定的に違うのですから、アウトプット力を伸ばすには、テスト勉強とは違う学習方法が必要です。
2.アウトプット力を鍛える
アウトプット力を鍛える一番の方法は、1年365日、すべてのアウトプットを英語で行う環境に身を置くことです。そして社会生活全般について、幅広く発信する機会を確保します。もちろん情報の受け手は、英語しか理解できない人たちでなくてはなりません。
そう、一人で英語圏へ行き、朝から晩まで英語に囲まれて暮らすことが、アウトプット力を伸ばす最短の道です。もちろんほとんどの社会人にとって、これは現実的な方法ではありません。でも大丈夫、日本にいてもアウトプット力を鍛えることは可能です。
アウトプット学習のキーワードは、「再生」と「創造」
英語のアウトプット力を鍛える、具体的な方法を見ていきましょう。大別して2つの方法があります。
スピーキングとライティングには、異なる特性があります。その特性に沿った各スキルの強化法を、もう少しご紹介します。指導者や練習相手がいなくても、一人でコツコツ経験値を積むことができますので、毎日少しでも続けて効果を実感してください。
スピーキングは、音声によるアウトプットであり、スピーディーな情報伝達が特徴です。 何を伝えるか(WHAT)と、どう伝えるか(HOW)をマッチさせ、速やかに、かつ、わかりやすく言葉で伝える力が求められます。
<おススメのスピーキング強化法>
2の練習では話題が偏らないよう、さまざまなトピックを選びましょう。録音時間は30秒から初めて、徐々に2分程度にまで伸ばし、録音時間いっぱい話し続けてください。
スピーキング力をより効率よく強化するためには、専門のプログラムやサービスを活用する方法もあります。アルクでは、すでに自分が持っている語彙や知識を使い切って英語で話すトレーニングプログラムのご用意がありますので、興味のある方はこちらも覗いてみてください。
ライティングは文字を媒体とするアウトプットで、常に記録が残ります。瞬発力が勝負のスピーキングと比べ、多少なりとも時間をかけ、考えて文章にします。ライティングに求められるのは、状況に合わせた適切な表現と、伝わりやすい構成、そして英文の正確さです。
<おススメのライティング強化法>
次の①②③のポイントを意識して、毎日、日記をつけてみてください。
①挨拶、説明、依頼、謝罪など、様々な状況で使われる表現をインプット、ストックする
②「背景→理由→結論」と、結論が最後にくることが多い日本語の構成ではなく、「結論→背景・理由→再度結論」という英語の構成を意識して書きます
③書いたあと、上の①と②がきちんとできているか、確認作業を行ないましょう
例)・英語ができる人に見てもらう(適切な人が周りにいれば、もっとも確実)
・添削アプリや文書ソフトの修正機能を活用(完璧な確認は望めないが手軽)
・自分で調べて確認する(完璧な確認は望めないが手軽)
コツとして、パーソナルな内容、ビジネス関連、時事問題のなかから、毎日どれかひとつを選択して書くと、幅広い題材で文章を書く訓練ができます。3分でも5分でも、時間を決めておき、限られた時間内で素早く考えをまとめて書き上げます。
アウトプット力の測定には
3.まとめ
あらゆるトレーニングがそうであるように、アウトプットを強化するにも、無理なく練習を続けられるペースメーキングが重要です。特に自分一人で行なう学習が続くかどうかは、学習者の決意と実行力しだい。「今日はどんなシチュエーションで、どんな文章を書こうか」、「今日は英語で何を話そうか」など、ちょっとした変化や楽しみを、あなたのトレーニングに取り入れてください。
一人で行なう練習のネックは、きちんと人に伝わるようにアウトプットできているか、客観的に把握しづらい点です。できればあなたが書いた文章を読み、会話の相手をしてくれる人と、一緒に練習する機会もつくりたいものです。
アルクエデュケーションでは、話すための知識はあるのに、それがうまく活用されていない層に特化したプログラム「クリエイティブスピーキング」をはじめ、アウトプットを強化する研修プログラムを多数ご用意しています。是非こちらもご覧ください。
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