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新入社員研修に英語研修を採用する意味は?目的や導入時の注意点も

こんにちは。グローバル人材育成の「アルク」のライティングチームです。
新入社員研修にも採用されることが多い英語研修。人事や教育のご担当が研修計画を立てる際の課題や解決策について詳しくお伝えします。

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グローバル人材の基盤をつくる研修を取り入れていますか

新入社員研修は、多くの企業で実施されていますが、その内容は業種・職種によってもさまざまです。近年、新入社員研修に、英語研修をはじめグローバル人材の基盤をつくる研修を取り入れる企業が増えています。

グローバル人材の基盤をつくる研修と一言で言っても、実はその目的により多様な研修があります。例えば、英語力そのものの向上を目的とする英語研修スピーキングリーディングライティングプレゼンテーションミーティングなど)、グローバルな意識を醸成するグローバルマインドセット異文化理解、自立した学習者を育てるための自己学習法セミナーなどです。

新入社員研修
■一般研修例
  • ビジネスマナー
  • コミュニケーション
  • 経営方針やビジョンの理解
  • 会社の規定・ルール

新入社員研修にグローバル人材育成研修を取り入れるメリット

新入社員は、社会人としての一歩を踏み出し、学生時代とは生活習慣が大きく変わります。このタイミングに、グローバル人材の基盤となる英語を学ぶメリットを伝え、生活の中に英語を取り入れて学習を習慣化することができれば、階層別教育の次の段階である3年目研修までに、かなりの基礎力を身につけることができます。

加えて、グローバルマインドセット異文化理解研修などを行うことで、国内外で働く外国籍社員とのコミュニケーションをよりスムーズにすることができます。まだ柔軟性の高い新入社員の段階でこうした研修を取り入れることは有効です。

ここでは、新入社員向けにグローバル人材育成の基盤をつくる研修を取り入れるにあたって、どのようなものが適切なのか、英語研修を中心にまとめました。人事や教育のご担当の皆様にお役立ていただけますと幸いです。ぜひ最後までご覧ください。

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新入社員研修における英語研修の位置づけ
他社は英語研修にどのくらい力を入れている?

新入社員研修で特に重要視されているテーマの上位は、ビジネスマナーやコンプライアンスなどで、「語学力」は全体として増えてきてはいるものの、一軍には入っていないのが実情です。新入社員研修は所属に関わらず行われるため、社会人としての一般常識やスキルの習得が優先的に扱われています。英語研修は必要な部門でのみ実施され、それ以外の部門では、英語研修という形態ではなく自己啓発(通信講座やeラーニング、英会話)として英語学習をさせる企業が多いようです。

ただ、社会人になり生活が変わったばかりの新入社員が学生時代のように学習時間を捻出することは難しく、またテストのような目標が無い場合、なかなか個人的に学習を継続することは困難です。そこで、業務と英語学習を両立できる自律した学習者を育てるための、学習法自体を学ぶ研修を取り入れる企業も増えています。

一方で、英語研修を新入社員研修に取り入れている企業の多くは、海外での売上比率が高い、または今後高めていく予定があるなど、グローバル化に力を入れています。そのような企業では、中堅社員に比べてまだ時間のある新入社員のうちに、英語の基礎から業務で使える実践英語までを幅広く網羅する英語研修を実施しているようです。

また、部門・所属にとらわれない、新入社員という階層別教育の最初の段階で英語研修を取り入れることは、企業がグローバル化に力を入れているというメッセージを社内外に伝えることにもなります。

語学力という側面だけではなく、マインドセットという側面からも、研修を導入する企業は増えています。グローバルマインドセット研修異文化研修を取り入れる企業は、外国籍社員の増加などに対応することを第一の目的としていますが、同時に、異文化理解・対応力を養うことで、「職場」という新しい異文化環境にも溶け込みやすくするという考えもあるようです。

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グローバル人材としての基盤をつくる

多くの企業で、長年にわたり「グローバル人材」の育成を掲げた研修体系が構築されています。下の図は企業の人事・教育ご担当者様からよくお聞きする「グローバル人材の要件」をまとめたものです。新入社員研修では、この中でもStage 1の力を身につける研修をお勧めしています。

  階層 必要なスキル 具体的なスキル・知識 (ビジネススキル、語学レベル)
Stage 3
グローバル リーダー
Global Leader
グローバルに活躍できる
リーダーとしてのマネジメント・
コミュニケーションスキル

リーダーシップ領域
・リーダーとしての行動・コミュニケーション力
・知識・経験(戦略策定力、経営能力、管理能力、リスク認識、判断力など)
・チームビルディング力 (チームを導く力)

Stage 2
グローバル プレーヤー
Global Player
海外とのビジネスに
対応できる知識・スキル

ビジネスコミュニケーションスキル
・論理的思考力・展開力
・Assertiveness(自他ともに尊重しながら、自己主張をする)

ランゲージ系領域
・高度な英語力

異文化コミュニケーションスキル系領域
・異文化に対する理解力・適応力

Stage 1
国内要員/
グローバル要員
Domestic Player/
Global Player
Candidate
国内外で共通して
求められる仕事の基本

ビジネス知識・経験
・自身の専門領域や関連領域、ビジネス全般に関する確固たる知識と経験

ランゲージ系領域
・基本的な英語力

対人能力
・対人理解力、対人影響力、チームワークなど

マインドセット
・国内/グローバル環境で多様な価値観を活かすことができる

計画を立てる際の課題

現在地の確認とゴール設定の課題①

実際に新入社員研修に英語研修を取り入れることを検討する際に、まず必要となるのは、現在地の確認とゴール設定です。

語学力の向上をメインの目的とする英語研修では、TOEIC® L&R テストのスコアやスピーキングテストなどで、現在のレベルを確認します。その後、レベル別にクラス分けをして必要となる英語研修を組み立てる、という流れになります。以下は一例です。詳細は内容に関する課題の項目で詳しくご紹介します。

現在地 ゴール設定 研修の内容
TOEIC® L&R
400点未満
グローバルに対する意識の向上、英語に慣れる、定型的な業務対応力
TOEIC® L&R 500点以上
グローバルマインドセットTOEICテスト対策リスニング
TOEIC® L&R
400~600点
定型的な業務対応力+αの業務
TOEIC® L&R 100点以上アップ
グローバルマインドセットリスニングスピーキング異文化理解・対応力
TOEIC® L&R 600点以上 電話会議、ミーティング参加、など
スピーキング力の向上
グローバルマインドセットリスニングスピーキング異文化理解・対応力プレゼンテーションミーティング

現在地の確認とゴール設定の課題②

次に、英語研修以外の研修・セミナーについて考えてみましょう。
一つ目は、通信講座やオンライン英会話などの自己学習で、新入社員研修に取り入れている企業にお勧めの「自己学習法セミナー」です。自己学習の難点は、継続学習ができず途中で挫折してしまうケースが多いことです。このセミナーでは、様々なレベルの学習者に対し現在地の確認方法や、レベルに応じた学習法の提案に加え、実際に学習計画を立てて実行するまでを案内します。ゴールとしては、数年後を見据えた「継続学習」ができるかどうか、がメインになりますので、3カ月後くらいを中間ゴールに設定し、習慣化できているかどうかで成果を測るとよいでしょう。

二つ目は、「グローバルマインドセット異文化理解・対応力」研修です。こちらは意識を変えることがゴールになりますが、達成したかどうかの成果が測りにくいことが難点です。例えば、その場限りで終わらずに、業務上でも常に研修で得た意識を持ち続け、最終的には行動変容が伴っているかどうか、までをゴール設定とする必要があります。成果を測る指標が難しいため、新入社員研修で取り入れる場合は、まずは各自の行動変容の目標を文章で視覚化し、適宜リマインドを図ることが重要です。

期間の設定に関する課題①

新入社員研修に英語研修を組み込む場合に、しっかり検討いただきたいことは、「研修期間」についてです。研修のゴールや内容によっても最適な期間は変わりますが、概ね以下の3種類から選択いただく形になります。ここでは英語研修だけでなく、他の研修も同時に進行する新入社員研修について、特に注意すべき点を考えます。

通常の英語研修と違い、新入社員研修に英語研修を盛り込む場合、メインとして扱われるビジネスマナーやコミュニケーション、経営理念の理解・共有研修などとの兼ね合いで、予算や実施できる時期が限られてしまうことがあります。その際に取り入れやすいのが、③の1~2日の「インテンシブ研修」です。1回では効果も限定的なので、隔月で行うとさらに効果的です。


期間の設定に関する課題②

インテンシブ研修をメインに、自己学習プログラムを組み合わせるパターンも多く見られます。事業拠点が離れていて定期的な集合研修が難しい企業で、好まれる形式です。自己学習だけでは続けにくい場合も、数カ月おきのインテンシブ研修があることで、モチベーションを保ちやすいというメリットがあります。

研修のゴールに対し、どのような内容でどの程度時間をかけるのが効果的か、最終的には研修会社との相談が有効です。


英語の必要性に対する共通認識を育む

研修の成果を大きく左右するのが、「その研修の必要性を伝えられているかどうか」です。
何のために行っているのか、を理解してトレーニングすることで、結果は大きく変わります。「言われたからやる」といった受け身の姿勢では、せっかくの研修も身につきませんので、計画時にはその点を文章化し、担当者と新入社員の全員で共有しましょう。

例えば、英語力の向上を目的とした研修では、「業務で実際に使う」という必要性がもっともわかりやすいでしょう。しかし、すぐに業務で使わない場合でも、数年後にそうしたチャンスがあったり、3年後や5年後にどういった姿になっているかという先輩社員のモデルケースを提示するなどして、前向きに取り組めるようにすることが重要です。


研修内容を考える

自律した英語学習者を育てる

新入社員研修でメインとして扱われるビジネスマナーやコミュニケーション、経営理念の理解・共有などは、基本的に一度の研修である程度身につけることができます。またこれらは、日常業務の中でも繰り返し使うことで、知識の定着と実践が直結している項目です。
しかし、英語力は、一度の研修ではなく定期的な繰り返し学習によって身につけるものです。また日常業務で使わない場合は、意識的に学習を続けていくことが大切です。

そこで重要になるのが、「自律した学習者を育てる」という観点です。下記はアルクで調査した「英語学習における挫折理由TOP3」ですが、研修内でこうした挫折しがちなポイントをフォローすることで、自ら学べる人材を育成することが可能です。一過性の研修にしないために、各自にあった学習方法や日常生活への学習時間の組み込み方などを研修に取り入れることをお勧めします。

英語学習における挫折理由TOP3

  1. やる気が続かない
  2. 学習時間がない
  3. やり方が正しいのか不安(何をやればよいかわからない)

基礎力を固める①

新入社員研修で行う英語研修において、「基礎力を固める」ことを目的とした場合の内容を具体的に考えてみます。英語レベル別にクラスを編成した場合、「基礎力を固める」という目標は一番下のクラスに設定することが多くあります。

英語力における基礎力とは、ある程度の「リスニング力、単語力、文法力」が身についた状態と言えますので、ここではTOEIC® L&R テストで測れる力(聞く力、読む力)とします。次のレベルにステップアップするための基準は、まずはスコア600点のクリアでしょう。企業の人事教育ご担当者様にうかがうと、3年目(または2年目)にスコア600点を超えるなど、具体的な数字目標を掲げる企業が多いようです。

数字目標というと、「中身が伴わないのでは」という疑問の声を時々いただきますが、基礎力という点では、次のアウトプットの段階(スピーキング、ライティング研修)に進むためにも、スコア600点は妥当です。

それでは、TOEIC® L&R テスト600点を取るためには、どのような研修を実施すればよいのでしょうか。研修内容に落とし込む場合は、①スコアアップに直結する「TOEIC対策研修」を行うか、②リスニング・リーディング力を養成するような研修を行い、結果的にスコアが上がるものにする、といった方法が考えられます。

基礎力を固める②

TOEIC® L&R テストは、内容がビジネス英語に特化しているため、TOEIC対策の研修=ビジネス英語の基礎研修とも言えます。ここで注意したいのは、TOEIC対策研修の場合、下図のように「英語力向上」と「テクニック習得」という2つの内容があることです。そのため、研修内容が想定していたものかどうか、カリキュラムを事前に確認することをお勧めします。

英語の基礎力向上を目的とする研修(例えばリスニング力向上を目的とした研修)の場合も、TOEICに出そうな素材(センテンス・文章)で学ぶのか、まったく違う日常会話なども扱うのか、教材内容は千差万別です。より希望に沿った内容になるように、事前に確認しましょう。

実務で使える英語力を養成①

TOEICスコア600点を超えている新入社員には、「実務で使える英語力」を養成する研修がお勧めです。まずは対象者の配属先にどのような「実務」があるかを把握しましょう。例えば、「メール」「電話」「会議」「海外出張」などです。実際に英語を使う業務について確認した後で、研修内容を検討します。

実務に直結する英語力の養成として、短期間で効果が期待できるのは「メール」です。よくあるシーン別に定型文を学ぶことで、それを翌日からすぐに応用して使うことができます。また、カスタマイズが可能な研修会社であれば、より場面を実務に近づけることで、研修効果は飛躍的に上がります。


実務で使える英語力を養成②

TOEICスコア600点以上を取得した対象者が、実務で英語を使わない状況でしたら、研修内容にお勧めなのは「スピーキング研修」です。すでに身につけた英語の知識を使って、「言いたいことが言えるようになる」ための研修を行い、実際に話せることを実感し、さらに英語学習を自発的に行うモチベーションを高めることもできます。この時のポイントは、少人数でどんどん発話できる機会を提供することです。

研修の形態を考える : オンライン研修と講師派遣型研修(対面研修)とその効果

①オンライン研修とその効果

オンラインでの学習プログラムとしては、以前からアプリやeラーニングなどの通信教育講座やオンライン英会話などがありましたが、コロナ禍により多くの英語研修が、対面からオンラインに切り替わりました。状況が落ち着き、規制が全て無くなった現在でも、引き続きオンライン研修を実施する企業は多いようです。

オンライン研修の効果としては、利便性が良くなることによる受講者の負担軽減が挙げられます。拠点に配属された新入社員にも移動や宿泊などの負荷をかけず研修に参加させることができます。また、実際のビジネスの現場ではオンラインによる会議が増えているので、そのような場で通用する英語力を身につける実践トレーニングとして、オンライン研修は最適です。

②講師派遣型研修(対面研修)とその効果

一方で、コロナ禍以前は主流であった講師派遣型の研修(対面研修)は、以前よりその数は減ったものの、2022年の秋以降、徐々に増えてきています。

受講者と講師、または受講者同士が顔を合わせることによって、新入社員が円滑な人間関係を築くことができるのも講師派遣型の研修に期待される効果のひとつです。また、このような対面の研修は、新入社員のモチベーションを高めることにもつながるようです。特に、グループに分かれて意見を出し合いながら発表するグローバルマインドセット研修などでは、講師派遣型を選択するケースが多く見られます。

それぞれ得られる効果が異なるので、オンライン研修と講師派遣型研修を組み合わせてプログラムを組むのも良いようです。

まとめ

以上、新入社員研修に英語研修などグローバル人材の基盤をつくる研修を導入する際に検討しておきたい事項やお勧めの英語研修などをご紹介しました。

期間・予算など様々な検討事項がある中、社会人一年目の新入社員に必要な研修(特にグローバル人材育成の第一歩となる研修)は何かを考えるとともに、貴社の今後のグローバル人材の育成についても併せて検討が必要です。

英語研修だけでも、内容は「基礎力向上」から「応用力獲得」、「即戦力で使える内容」まで様々ですし、さらには、マインドセット異文化理解・対応力研修自己学習などもあります。ここでは大きな課題についてご紹介しましたが、もし解決しにくい課題などがありましたら、ぜひ弊社にご相談ください。企画の立案から実施まで、トータルにサポートさせていただきます。

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